多数の死者を出す恐れがある新型インフルエンザの発生に備え、厚生労働省の厚生科学審議会感染症分科会は29日、感染症法と検疫法を改正し、新型インフルエンザに関する項目を新設することを求める提言をまとめた。具体的には、感染の恐れがある人に外出自粛を要請することや、検疫で感染の恐れがある人が多数出た場合には医療機関以外の施設も使って強制的に宿泊させることなどを求めた。未発生の感染症を法に盛り込むのは初めて。厚労省は来年の通常国会に改正案を提出する。
現在は、H5N1型の鳥インフルエンザが新型インフルエンザとなった場合について、感染症法と検疫法の指定感染症とされ、入院措置などができる。これ以外の型については規定がないため、見直しを進めていた。
提言では、すべての新型インフルエンザについて、従来の感染症分類とは別項目を新設、検疫や国内発生時などの対応を定めることを求めた。
具体的には、国内で出た感染の恐れがある人に対しては、都道府県知事が外出自粛や健康診断の受診、予防投薬の実施を要請できるようにする。【関東晋慈】
毎日新聞 2007年11月30日 東京朝刊