プレイステーションの著作権侵害裁判


私は、ゲーム機プレイステーション等ならびに同ゲームソフトに組み込まれているプログラムの開発を担当した個人のソフトウェアエンジニアです。
ところが、ソニー・コンピュータエンタテインメントは、著作権者に支払われるべき著作物利用の正当な対価を支払わずに私のプログラムを使用し、ゲームソフト会社等からロイヤリティーを貰っています。
そこで、私は、平成15年3月27日、ソニーコンピュータ・エンタテインメントに対して、損害賠償請求ならびに改変差止請求の訴訟を提起しました。


企業等が著作権を有するためには、開発されたソフトウェアやプログラムの著作権を譲り受ける旨、契約書によって特約を定めておく必要があります。
しかし、本件プログラムに関しては、契約書と呼べるものは存在しません。また、ソニー・コンピュータエンタテインメントから、著作権の移転を示す客観的な証拠が提出されたわけでもありません。
ところが、東京地裁及び知的財産高等裁判所は、私が著作権者だということを認めた上で、著作権の移転を示す客観的証拠など何も存在していなかったにもかかわらず、推認の上に推認を重ね、著作権が移転したとの認定をしました。
権利の移転という重大な事柄について、これを示す書類が何もないのに移転したとの判決がまかり通ってしまうのであれば、大変なことになってしまいますね。
私たち一般人は、いつの間にか様々な権利(財産権、所有権、債権、親権など)が移転させられてしまうという危険にさらされているということなのです。
皆さんから種々の質問が届いていますので、このHPでは、判決及び審理の問題点を含めて分かり易く説明していけたら良いと思っています。


裁判の方は、判決が確定していますので、再審訴状を提出していましたが、平成18年12月27日に再審が却下されました。
却下の理由は、要するに再審理由は上告理由として主張すべきものだったということです。
また、再審の却下理由として、以下のような文がありましたので抜粋して紹介いたします。

「別紙再審訴状第3の2(2)Cの事由は、民訴法338条1項9号にいう判断の遺脱であるところ、このような事由については、当事者は特段の事情のない限り、原判決正本の送達によりこれを知ったものと解するのが相当である(なお、原判決正本の送達は再審原告訴訟代理人が受けているが、訴訟代理人によって訴訟を行う場合には、一定の事実の知、不知はまず訴訟代理人について決するのが相当であるから、民訴法338条1項ただし書にいう当事者とは、当事者の訴訟代理人をも包含する趣旨であると解すべきである(最高裁昭和31年(オ)第15号同32年8月1日第一小法廷判決・民集11巻8号1437頁参照))。そして、原判決正本の送達を受けた当時、再審原告訴訟代理人が上記の再審の事由を知らなかったことをうかがわせるような特段の事情があることは認められないから、再審原告は、上記事由については、これを知りながら上告により主張しなかったものといわざるを得ない。」

上記の部分は、再審理由である判断遺脱(民事訴訟法338条1項9号)に該当すると認めつつも、やはり、上告理由として主張すべきだということで再審を却下しているのです。
しかし、再審理由と上告理由は違うので、再審理由を上告理由として主張することはできません。
再審理由だと認めているにもかかわらず、上告として主張すべきだとして却下するのもおかしいことですよね。
裁判所は、何のために、再審理由として、民事訴訟法338条1項9号の「判断遺脱」が存在していると思っているのでしょうか?不思議なことです。
当然のことながら、裁判所の決定を不服として、平成19年1月2日に特別抗告及び許可抗告申立をしました。


ところで、PS3の販売台数は、他社製品の販売台数と大きく引き離されるいっぽうですね。
発売当初から転売目的の購入が問題視されていましたが、ゲームソフトよりもゲーム機の方が多く売れているということは、1台のゲーム機に1枚のソフトさえもないということを意味し、転売目的あるいはゲーム以外の目的で使用されていることが強く推察されます。
私は、PS3の仕様など雑誌で発表されている程度の大まかな基本設計概要を知ったときから、このように販売台数が他社製品と大きく引き離されることが予測できましたが、普通のエンジニアであれば発売前から予測していたことだと思います。

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