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独自の学力検査結果の一部を開示 愛知・犬山市教委

2007年11月22日

 愛知県犬山市教育委員会は21日までに、独自に市内4中学校で実施した05、06年度の標準学力テスト結果の開示を決めた。今年度以降も、市民が公開を求めれば、結果を明らかにする方針。「標準学力テストの目的をゆがめ、学校間の序列化を促すことにつながり、無意味な学校間の競争をあおる」などとして、同市教委はこれまで開示しておらず、同じような理由から国の全国学力調査(学力テスト)にも市内の公立校が唯一参加していない。

 市内の男性(57)が4月、「公平な教育が行われているか」「各中学校間に極端な学力の差はあるか」を知るため、2カ年度の学年別、教科別の結果を公開するよう市教委に請求。しかし、翌月、市教委は非開示を決定した。

 その後、男性の不服申し立てを受け、市情報公開審査会が8月、開示するよう答申した。

 市教委は答申を受けた後も、05年度分を「保存期間は1年で、廃棄した」と非開示とし、06年度分もなかなか開示しなかったという。そのため、男性から今月2日、「市条例に該当する理由がないのに、非公開にした」として名古屋地裁に非開示処分取り消しを求める訴えが起こされた。

 市教委は今月20日の定例会で、開示を決定。これまでの方針を大きく転換した。「同様の訴訟で8月に盛岡地裁が非開示とする判決を出したことなどから、慎重に議論したため決定まで時間がかかった。提訴されたためではない」と話す。

 一方、男性が6月、「非公開の決定理由は市教委の教育理念に基づくもので、条例の非公開情報のいずれにもかからない」と不服理由を追加する書面を提出したのに対し、市教委がこの書面を審査会に提出していなかったことが、男性の別の情報公開請求で判明した。市教委は「追加理由の内容は口頭で伝えた」と釈明している。

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