僕の演じる春日虎綱がいよいよ武田二十四将でおなじみの香坂弾正忠虎綱になりました。香坂弾正という人物は、原作や台本、資料などを読むと頭が良くて兵法や軍学に秀でた武将で愛想も良かったようですね。 ただ、初登場のときは15歳の少年(春日源五郎)だったので、そうした賢さを出すというよりは若々しさを意識しました。たとえば視察に訪れたお屋形様に川の流れについて進言するシーンがあったのですが、地侍の息子がお屋形様にもの申すというだけで、相当、緊張するはずですよね。声を高めにしてセリフを早口で言うことで、若さや、“いっぱい、いっぱい”な感じを出せたらいいなって思ったんです。出世するにつれて、セリフもゆっくりと落ち着いて話すようにしているのですが、僕はもともとの声が高いのでそこが苦労するところです。勘助とちょっと言い争いになるようなシーンでも、決して熱くならず冷静にということを心がけているのですが・・・。 それにしても香坂にとって勘助との出会いはとても大きいものだったし、弟子という言葉は出てこないけれど、一番弟子のような存在ですよね。だから、『なんとなく勘助に似てきてしまった』というような雰囲気が出せたらいいなとも思っています。
僕の実家では毎年欠かさず大河ドラマを見ているんですよ。だから僕も本当に小さいころから「独眼竜政宗」や「信長」を面白いなと思って見ていました。日本史も大好きで、なかでも戦国時代が一番好きだったので、今回の出演はすごくうれしかったです。 大河はもちろんのこと、時代劇そのものも初めてなので感激することも多いですね。鎧(よろい)姿になったときは『おおーっ』って感じで(笑)、ケータイで写真を撮ってしまいました。 板垣と甘利が戦死した上田原の合戦のロケは僕自身の出番はなかったのですが、どうしても見たくて見学に行きました。目の前で見た千葉真一さんの壮絶な立ち回りは感動でした。思わず『僕も川中島で死んでやるぞー!』って気分になったほど。香坂は死なないんですけどね(笑)。 あのロケからしばらくして武田家も重臣の方たちが去り、若手が増えていったころ、内野聖陽さんが武田家臣団の飲み会を開いてくれたんです。そういう機会を作ってくださったことで一気にみんなが打ち解けることができた。そこまで、みんなのことを考えてくれるなんてすごいと思いました。お芝居に対するストイックで真剣な姿勢も勉強になります。 市川亀治郎さんのお芝居からは歌舞伎のすごさを感じます。あの誰にもまねのできないお芝居は歌舞伎ならではのものですよね。今まで歌舞伎を見たことがなかったのですが、どうしても本物を見たくなって亀治郎さんの舞台に出かけました。やっぱり面白かったし亀治郎さんが最高でした。 大河ドラマはすばらしい役者さんが大勢出演されていて、その方たちとご一緒できるというのがすごいですよね。僕自身、この1年で何か大きなものを得ることができたと思っています。