◇臓器移植法違反の疑いで告発
金沢大医学部付属病院(金沢市、富田勝郎病院長)が臓器移植法で5年の保管が定められた脳死判定の脳波記録を紛失した問題で、大阪市の市民団体「脳死・臓器移植による人権侵害監視委員会」(岡本隆吉代表)のメンバーらが28日、臓器移植法違反(記録保存義務違反)の疑いで金沢地検に同病院に対する告発状を提出した。
同病院は昨年5月の脳死臓器移植で、脳死判定のために計4回行った脳波測定の記録を紛失。しかし、院内の調査委員会で医師らに聞き取りを行ったことなどを根拠に「脳死判定は的確」と報告している。これに対し、厚生労働省は今年8月、同病院に再発防止策の徹底と、結果についての報告を求める行政指導をした。
同団体の岡本代表らは28日、金沢市内で記者会見を開き、「法律を熟知せず臓器提供に奔走した姿勢が目立つ。本当に脳死判定は正しかったのか、怪しいと思われても仕方が無い。検察などの第三者が事実究明をしなければならない」と話した。【泉谷由梨子】
毎日新聞 2007年11月29日