美瑠姫の小山田信有に対する思いには複雑なものがあったでしょうね。彼女の根底には常に“子ども”がいて、“子どもを守るため”に選んだ生き方が側室になることだった。しかし、いつの日か美瑠姫自身も小山田に対して気持ちが揺らいでいった・・・。その心境は時代に関係なく女性ならば理解できることだし、そんな女性としての“強さ”と“したたかさ”が、すてきだなと思いました。
小山田のこととは別に美瑠姫にとって悲しかったのは勘助との再会でした。まだ美瑠姫が少女だったころ、父親の海ノ口城を武田の攻撃から守ってくれたのが勘助でしたから『一本筋が通っていて、それを貫き通す人』だというふうに思っていたんです。ところが志賀城攻めで再会した勘助は、敵の武田家の軍師だった。信じていた人に裏切られた思いから、『その経緯が何であれ、最後まで悲しみとともに絶対に許さない』という気持ちで演じていました。
「風林火山」では、いま私が生きている現代では想像もつかない世界を体験することができました。戦国時代という未知の世界に入り込み、そこでお芝居をすることがとても新鮮で楽しかったですね。また、機会があればぜひ演じてみたいと思っています。