インタビュー 忍芽役・清水美砂 “夫を信じる”気持ちの強さを大切に…

すべては“夫ありき”で

 戦国を生き抜き、後の世まで続いた真田一族の礎となった夫婦、それが幸隆と忍芽です。ただ、真田家の資料はあるけれど、そこに忍芽については何も書かれていない。参考になるものが何一つなかったので、最初は少し不安でしたね。
 真田昌幸の母であり、幸村のおばあさんだということ。彼らを忍芽が育てたと言っても過言ではないということは聞いていて、すごい方だなと。それだけにプレッシャーもあり、手探り状態でのスタートでした。
 でも初収録がいきなり馬に乗って真田の郷を追われるシーンのロケだったんです。女性ながら鎧(よろい)を着けての脱出行でしたから、自分も合戦に出るような覚悟だったんでしょうね。その強さは、ふつうの女性ではないなということは実感できました。
 ただ、そこで忍芽は息子を前に抱えて馬に乗っていたんですね。単に強さだけでなく、その姿に母親の優しさも表現できるシーンになっていたことがよかったなと思いました。
 その後は、演じながら少しずつ忍芽という人物像を発見していったのですが、一つ、私の中でこれだけは大事にしようと思っていたことがあります。それは、夫の言葉や行動は、すべて妻として信じよう。何をしても夫がすることは受け入れようということでした。だから、夫が放浪中の山本勘助を屋敷に連れてきたときも、あの汚さや異様な風体をこわがることなく(笑)、ごく自然に接していましたよね。夫がこの人を受け入れているのだからということで、すべて“夫ありき”なんです。

忍芽の強さに感動

 忍芽にとって“夫ありき”というのは一筋の愛なんです。だから単に“夫の言いなり”になるということとは違います。
 たとえば、夫が武将たちと話していることも、側に控えてしっかりと聞いていますし、ときには助言までしているんですね。出過ぎるのではなく、それでいて言いなりでもなく、きちんと状況を把握しながらやっている。そういうことが、きちんと描かれているので助かります。
 もちろん夫婦間がぎくしゃくしたこともありました。夫が勘助の説得で武田に仕えることを決意したとき、忍芽は仇敵につくことに反対でした。でも葛藤があったにも関わらず、兄が夫を『裏切り者』と言ったとたん夫をかばってしまう。そんな妻のあり方もすごいなと思いましたね。
 反射的にかばったということではなくて、あそこで忍芽の意志が芽生えたんです。どんなに憎い相手でも、夫が武田を選ぶというのなら信じようって。『たとえ一族を敵に回しても夫を信じます』と、兄に向かってきっぱりと言い切ったんですね。忍芽という女性の強さ、夫に対する愛情の強さ、いろんなものが見えてきて、演じていてもスキッとしたシーンでした。
 砥石城攻略に苦悩する夫のために、たとえ自分は命を落としてもと、常田隆永に会いに行ってしまったのもすごいですよね。忍芽の強さ、行動力には驚かされますが、とても魅力的な女性だと思います。だから、台本を読むのが楽しみなんですよ。次はどんなことをするのかしらって(笑)。

 
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