内野聖陽さんの「風林火山」トーク6

越後の勘助 その2

勘助 VS 宇佐美定満

 勘助と宇佐美定満では、同じ軍師と言ってもずいぶん違う。他国を切り取り前へ前へと進んでいく武田の勢いを代表しているような人間が勘助です。自分たちの天下を取らんとする志のために生きていく、ある意味、現代の正義とはまったく無縁なところに位置する軍団の軍師が勘助です。



 一方、緒形拳さんが演じられている宇佐美定満には、欲のない静けさと、酸いも甘いもかみ分けた、人間を達観したようなところがある。ああ、この違いはすごいなと思いましたね。
 琵琶島城に閉じこめられた勘助が、定満と2人だけで話すシーンがありました。この時は、まだ定満が景虎に仕えることを誓う前なので、勘助としてはもしかしたら武田サイドに取り込めるのではないかという思いもあった。やっぱり定満の中には、越後守護としての上杉家を再興させたい、逆臣に仕えるのはいやだという思いがある。そういう恨みの魂を武田に取り込めないか。一瞬、そんな下心が起きたところを、定満から『武田にだけは懐柔されんぞ』と返されてしまう。ちょっとした腹の探り合いがとても面白かったシーンです。
 結局、定満は景虎側につくことになった。『よし、わかった、そちらは、そういうフォーメーションを組んだんだな。我が主にはそれで報告するよ、じゃあな』って言おうとした途端、捕らわれてしまった(笑)。越後に潜入した勘助は情けないと言われれば非常に情けないね(笑)。



 ただ、緒形拳さんと共演できたことは本当によかった。俳優としてのキャリアも雲泥の差だし、実年齢も親子くらいに違う。これは勝負にならないみたいな感じもありましたが、あの2人だけのシーンでは、しっかり緒形さんと出会えるように、そのお人柄のすべてを感じ取りながら、やらせていただきました。
 何かね、緒形拳さんからは、初めてお会いした方じゃないような感覚を覚えましたね。『内野〜っ、そうか〜ぁ、肉食え〜』みたいな。今回、あまり共演時間が長くないので、またいつか、がっつりとご一緒してみたいと強く思った大先輩俳優でした。


 
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