(前回記事: 再処理工場の稼働に反対し声を上げる市民・六ヶ所核燃料再処理工場営業運転の危険(1)
フランスの市民団体の研究員も危険を指摘
10月13日の 「Web東奥ニュース」は、青森市内の反核燃集会に招かれたフランスの市民団体アクロ(ACRO)の研究員が、トリチウムと炭素14の健康への影響がこれまで考えられてきたよりはるかに大きいことなどがわかった、と話したと報じている。 (「反核燃全国集会で仏研究者が講演」)
アクロは、フランスのラ・アーグ再処理工場周辺の環境中の放射能を調べている市民団体で工場の稼働以来、炭素14やトリチウムなどの核物質が空気中に浮遊していることはわかっていたが近年その放出が増え、1Lあたりの雨水から100ベクレルを検出したという。同団体は昨2006年、再処理工場に隣接する核廃棄物処分場(ANDRA=アンドラ)から地元の農民が乳牛飼育に使用する地下水に1リットルあたり750ベクレルの放射能がもれていたことを突き止めている。これはEUの安全基準の7倍以上だという。
海に捨てた物も回収してフランス中の核廃棄物を貯蔵するアンドラの処分場(右側の斜面)背後がCOGEMA LaHague 再処理工場
アンドラ処分場の地下水をくみ上げ放射能汚染をチェックする設備
再処理工場周辺の浜や海は、海水浴、サーフィンやセーリングのレジャ―が盛んだ
通常、トリチウムは1Lあたり2ベクレル程度の割合で自然に存在するので、尾駮沼(おぶちぬま)のトリチウムは自然レベルともいえるが、以前には検出されなかったことから青森県の見解の通り海からきたものとみられる。営業運転が始まれば放出放射能はもっと増えることから、尾駮沼の水や泥に含まれてその濃度を次第に高める可能性がある。(関連記事: 六ヶ所核燃料再処理工場営業運転の危険(1))
トリチウムは半減期12年の放射性水素で大気中に出ると水に変化して体内に入りやすく、植物も光合成でこれを取り込むので、放射能を含んだ植物を食べれば汚染される。また有機物と結合しやすく生体組織に取り込まれると遺伝子を傷つけ染色体異常や小児白血病の原因になるとみられている。ラ・アーグではトリチウムなどを含んだ草を食べた牛が白血病になって死んだ例もある。イギリスのセラフィールド再処理工場から排出された放射能汚染でも同様な事態が起きている。(関連記事: 放射能を含む土ぼこり・英核燃料再処理)
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・原子力資料情報室
・グリーンピース・ジャパン
・21世紀 核時代 負の遺産(中國新聞)
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