厚生労働省は28日の中央社会保険医療協議会(中医協)の基本問題小委員会で、2008年4月に実施する次の診療報酬改定で、療養病棟入院基本料について、医療・ADL区分ごとの現在の点数設定を見直さない方針を示した。
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医療区分ごとの項目、入れ替えなし
療養病棟入院基本料の医療・ADL区分ごとの点数設定は現在、表のとおり。
医療区分ごとの点数設定をめぐっては、慢性期入院医療の包括評価調査分科会による調査から、「医療区分3・ADL区分1」(1,740点)と「医療区分1・ADL区分3」(885点)の間で、費用には大差がないのに点数に倍近い差があることがわかり、「医療区分1・ADL区分3」の点数が低すぎると問題視する指摘があった(関連記事)。
厚労省はこの日、包括評価調査分科会による調査結果を踏まえて、医療区分ごとの点数設定が「今回の調査結果から算出された費用に比べ、点数の幅は広くなっていた」と指摘する一方、「医療療養病棟全体で見た場合の費用と収入は、ほぼ釣り合っていた」とし、区分ごとの点数見直しは論点にしなかった。
鈴木満委員(日本医師会常任理事)は、現在の点数設定について「大きな矛盾があるのは明らか」とし、点数見直しが論点に挙がっていないのはなぜかをただした。これに対して厚労省の原徳壽医療課長は「医療区分1については確かに低い点数をつけているが、これについては療養病床全体の政策としてどういう方向にいくのかを踏まえて検討してほしい」と応えた。
竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は「医療区分1の点数が少ないことは厚労省も認めていると思う。そこの部分をなんとか考慮してほしい」と訴えた。
原課長は「医療区分1の患者さんは介護保険で対応できる。コストに見合わない点数なのはそのとおりだが、その結果、医療区分1の患者さんは減りつつある。コストに見合う点数にしたら医療区分1の患者さんが新しく入ってくることも考えられる。療養病棟全体で医療ニーズの高い患者さんが増えているのは政策的に正しい方向だ」などと述べ、点数を見直す考えがないことを明言した。
■退院支援計画の策定など評価
厚労省はこの日、療養病棟入院基本料について、条件が整えば退院できる患者の「退院支援計画」を医療機関がつくり、計画どおりに退院できた場合にそれぞれ診療報酬で評価する仕組みの導入を提案した。患者の同意を得ることが前提。
一方、現在は「医療区分2・ADL区分1」と「医療区分2・ADL区分1」に設定されている「認知機能障害加算」は、廃止する方向で検討する。
このほか、現行制度では毎日評価・記録しなければならない入院患者の医療・ADL区分に関する評価・記録を、原則として病態が変化したときだけに求める形に見直し、看護業務の軽減を図ることにした。
将来的に医療の質を評価できるようにするため、ケアの質を反映する「褥(じょく)そう」の発生割合やADLの低下度合いなどを病棟ごとに継続的に測定・評価し、記録することを義務付ける方向も提案。療養病棟入院基本料の算定要件に加える方向で検討する。
更新:2007/11/29 キャリアブレイン
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