文部科学省国立教育政策研究所は27日、小学5年生と中学2年生の計約6500人を対象にした理科の学力テスト「特定の課題に関する調査」の結果を公表した。水に食塩を溶かした後の食塩水の質量を聞き、答えの理由も記述させる設問では理由も含めた正答率が小学校57・4%、中学校では54・4%。中学生が「質量保存の法則」への理解度で小学生を下回る結果となった。
調査は06年1~2月、理科の観察や実験に関する能力を見るため全国の学校から無作為抽出した211校を対象に実施。実験の様子をビデオ映像で見せながら設問に答えさせた。
100グラムの水に20グラムの食塩を溶かした後の重さを聞く設問では、状態変化で質量は変化しないという「質量保存の法則」の理解が中学生になっても深まらず、120グラムよりも小さくなると誤解している児童・生徒が多かった。これについて同研究所は「小学校で学んだところも、振り返って指導するなど工夫も必要になる」と指摘した。【高山純二、加藤隆寛】
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【「質量保存の法則」についての設問】
▽食塩20gを水100gに溶かしてできた食塩水の質量は?(カッコ内は選択率=%)
(1)100g (小5…13.2、中2…17.0)
(2)100gより大きく120gより小さい(小5…21.2、中2…20.2)
(3)120g (小5…63.2、中2…59.4)
(4)120gより大きい (小5…2.1、中2…2.8)
▽その理由は?
◇正答例
((3)を選んで)物質が混ざっただけで質量は変わらない
◇誤答例
((1)を選んで)溶けるのは、なくなることと同じ(小5)
((2)を選んで)溶けて液体になると軽くなる(小5)
((2)を選んで)食塩は見えないが、なくなったわけではなく、水に溶けた分、質量は少しだけ減る(中2)
毎日新聞 2007年11月28日 東京朝刊