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11/28-12:58--療養病床削減　11年度末までに３分の２に　県内医療機関

　慢性の持病を抱え、長期療養が必要な患者のための療養病床―。国の方針を受け、岡山県も１１年度末までに現在の３分の２に削減する計画案を示したが、療養病床を抱える医療機関では、介護施設に移ることが想定される患者の受け皿への不安が渦巻いている。　「社会的入院に近い例がないわけではないが、そういう人が家に帰っても介護できない。乱暴だ」と指摘するのは、健寿協同病院（倉敷市水島北春日町）の太田仁士院長。「介護施設はほぼ満杯。受け皿を作った上でそういう施策をすべき」と不満を口にする。　療養病床再編は、医療費の伸び抑制が目的。医療はほとんど不要だが、家庭で面倒を見られないなどの事情による「社会的入院」の増加で、医療費が増大傾向にあるとする考え方が背景にある。　県は今年度、「県地域ケア体制整備構想」を策定中。医療の必要性が高い患者に医療サービスを重点化し、必要度が低い患者には適切な介護サービスを提供できる体制づくりを目指す。　素案では、県内の療養病床５５２２床（今年４月１日現在）を１１年度末に約３分の２に当たる３６４９床へ段階的に再編する。　また、並行して策定が進む「医療費適正化計画」では、１２年度末の目標を３０８３床前後と定めた。同構想との差は、０９年度までに予定される診療報酬と介護報酬の改定や、医療機関の意向を踏まえて調整される。　病床の削減分は、老人保健施設（老健）や一般病床への転換が想定されている。　しかし、療養病床全体の減少に伴い、医療の必要度が比較的低い「医療区分１」の患者が、院外へ追い出される可能性も指摘されている。受け皿として新たに整備される医療機能強化型老健の具体像も見えていない。　太田院長は「医療区分１といっても寝たきりの人から、ごく軽い人までさまざま。寝たきりで区分１の人は老健では難しいし、医療機能強化型でも、面倒が見られるのか」と疑問視する。　県健康づくり財団付属病院（岡山市平田）の西井研治院長も「うちには施設で介護できる状態の人はほとんどいない。他の病院も同じではないか。〝介護難民〟〝療養難民〟が出たら、大変なこと」と困惑する。　介護の受け皿作りについて、県は「第４期介護保険事業支援計画」を来年度に策定する。直近の医療機関の意向も踏まえ、必要な介護サービス確保に向けた基盤整備の方針を定める。　県長寿社会対策課は「計画策定と、診療報酬と介護報酬が改定された後、具体的な姿が見えてくる。今不安があるのは仕方ないが、事業者の意向を最大限尊重し、不安がなくなるような計画を作りたい」という。　こうした動きに対し、宮本整形外科病院（岡山市国富４丁目）の石岡達司院長は「重症から軽症まで、さまざまな症状に対応するのに療養病床は必要。削減は仕方ないが、適正数は確保されなければならない」とけん制している。