何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた) 「あやめ」も「かきつばた」も同科の花で区別しにくいところから、どれも優れていて選択に迷うこと。 類:●何れ菖蒲 出典:「太平記−二一」 源頼政が鵺(ぬえ)退治で菖蒲前(あやめのまえ)という美女を賜わるに当たって、同じような美女一二人の中から菖蒲前を選ぶよう命じられた時よんだ和歌「五月雨に沢べのまこも水たえていづれあやめと引きぞわづらふ」による。

特徴の比較

和名 アヤメ カキツバタ ハナショウブ キショウブ ノハナショウブ ショウブ
科,属 アヤメ科,アヤメ属 アヤメ科,アヤメ属 アヤメ科,アヤメ属 アヤメ科,アヤメ属 アヤメ科,アヤメ属 サトイモ科,ショウブ属
生えているところ 山野に生える
水とは関係ないところ(畑など)にも植えられる
水湿地に群生 水辺など湿った場所に群生 明治の中頃に渡来し,栽培されているが,水田の溝や池の畔,湿地などに繁殖 山野の草原,湿原 沼や池や溝のそばなどの湿地
茎,根茎
根茎は横に這って枝分れし,多くの繊維に覆われている 高さ 60 〜 80 センチ 根茎はよく発達する 茎は直立し,50 〜 120 センチ
地下茎は横に伸び,よく分枝し,褐色の繊維に包まれている
根茎は太く横に伸び,白色ときには赤みを帯びる
花茎 花茎は緑,根元は赤紫色をおびる 花茎は 40 〜 90 センチ

花茎は 40 〜 80 センチ
葉は長さ 30 〜 50 センチ,幅 5 〜 10 ミリの剣状
中脈は目立たない
葉は剣状広線形で先がとがり,基部は鞘となって茎を囲む,葉身は長さ 30 〜 70 センチ,幅 2,3 センチ
中脈は盛り上がらない
隆起した中脈を持つ 葉は 60 〜 100 センチ,幅 2,3 センチの長い剣状
中脈が隆起して目立つ
葉は互生して二列につく
葉身は剣状で,長さ 20 〜 50 センチ,幅 5 〜 15 ミリ
中脈が盛り上がり,太くはっきりした筋となる
根茎の先にかたまって立ち,長さ 70 センチ,幅 1,2 センチ
中脈があり,長さ 70 センチくらい
花は紫色,直径 7,8 センチ 花は青紫色か紫色で 2,3 個つける 色は紫,白,絞りなど
大きいものでは直径 20 センチ
花は黄色
花の下に大型の苞がある
花は赤紫色で直径は 10 〜 13 センチ 黄緑色の肉穂花序
両生花で,花被片は 6 個
外花被片 外花被片は 3 個,広倒卵形
舷部は円形,基部は爪状
黄色と紫色の虎斑模様
外花被片は 3 個,楕円形で垂れ,長さ 5 〜 7 センチ
中央から爪部にかけて白から淡黄色の斑紋がある

外花被片は 3 個,広卵形
先が垂れ,爪の部分には褐色の筋がある
外花被片は 3 個で楕円形
先が垂れ,基部は黄色

内花被片 内花被片は 3 個,楕円状,倒披針形で細く直立する 内花被片は 3 個,倒披針形で直立 内花被片が大きくなり反曲するものが多い 内花被片は 3 個,長楕円形で小さく直立する 内花被片は小型で直立する
雄しべ 花糸は平たく,外側に彎曲
葯は暗紫色で縦に裂ける
雄しべは 3 個
葯は外向き出白色

葯は褐紫色
6 個
雌しべ 花柱の先は 2 深裂し,裂片には鋸歯がある 花柱は 3 つに分かれ,先は 2 裂する


1 個
さく果 さく果は 3 稜柱形で質が固く,長さ 3.5 〜 4.5 センチ
頂部は裂開し,褐色の種子を出す
さく果は長楕円形で,4,5 センチ
3 つの稜があり,先端にくちばし状の突起はない

さく果は三角柱状楕円形で,熟すと 3 裂し,褐色で半球状の種子を多数出す

和名の由来 和名は文目
外花被の基部に稜になった目があること,または葉が並列し綾をなすからとも
和名は「書き付け花」の転訛 ノハナショウブの園芸種
ショウブと呼ばれることが多いが,ハナショウブと呼ぶのが正しい
和名は黄菖蒲
花が黄色であることから
和名は野花菖蒲
ハナショウブの原種
和名は菖蒲に基づく
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/izure.htmlより引用)
              
花菖蒲 育成法
7月中旬〜8月中旬 苗の定植 苗管理1 初めての方は、苗を一度ビニールポット(12cm)に植えて,そのポットごと水のはったバケツ等に沈めてください。(根が出てくるまで水を切らないように!)
10日〜2週間ほどで 根が出てきますので、それを確認してから畑に植えてください。このやり方でやるとほとんど枯れることはありません。慣れた方は、一晩くらい苗を水につけてから、畑に植え、根が出てくるまで、乾かさないようにしてください。

※ 肥料は、苗を植える時には与えず必ず発根を確認してから(定植後2週間程度)与えて下さい。
肥料 (元肥) 苗を植え、根が出てきた頃に有機質肥料(油かす等)を与えてください。定植2年目以降は、花が終わったらすぐに与えてください。
10月中旬〜 茎刈 定植一年目は 茎はほとんど伸びませんので、必要ありませんが2年目以降は霜が降り、枯れ始めたら 地際から10〜20cmの高さで、茎を刈り取った方が翌春の作業が楽です。
4月上旬 肥料 (追肥) 4月上旬に芽が出てきますので、芽の長さが20〜30cmの長さになったら、化成肥料を与えてください。
5月〜7月 病害虫 5月頃より開花する7月まで ニカメイチュウ(蛾の幼虫)が発生します。これには、開花するまで、2、3回(1ヶ月に一回の割合)で オルトラン粒剤を株元に散布し、予防に努めます。5月中旬頃、よく株元を観察して、粘液が出てたり、虫に食われた跡を見つけたら、その中に幼虫がいますので、他の茎に移る前に、早めに手でつぶしてください。
6月 開花 定植後 翌年は 花も小さく、弱々しいのしか上がってきませんが2年目以降は本来の姿をだして、大きな花が上がってきます。
7月中旬 株分け 株分けは毎年行うのではなく、3〜5年に一回の割合で行います。この株分けを行わないと株が枯れてなくなります。
  1. 掘りあげて、土を水でよく洗いおとします。
    苗管理2     
  2. 茎を中心に割り下げ、二つに大割りしてから、定植苗(2〜3芽)にし、高さ20pに切りつめます。
    苗管理3 苗管理4     
  3. 植えつけの間隔は、25〜30cmとし、倒れない程度の浅く(3〜5cm)植えてください。
    苗管理5 苗管理6    
  4. 定植時は苗を水揚げしてから植え、肥料をやらない。肥料は根が出てから。   
  5. 植えつけ後2〜3週間は乾燥しないように水を与えます。
場所 日当たりよく、水はけの良い所。花が咲いてる期間(6〜7月)は、水のはった池でも良いが、春先から水の中に入れると黄変し腐ります。また、花菖蒲はいや地を起こしやすく、できればいままで植えてなかった所に植えてください。どうしても同じ場所で、植える場合はピートモスを多めに畑に入れ、混ぜてから植えてください。
※ 花菖蒲は酸性植物ですから、石灰は必要ありません。
※ 花菖蒲はもともと 北方型の植物で、新発田には適した植物です。株分け、メイチュウ防除等の管理ポイントさえ守っていれば育つ植物で、決して難しい植物ではありません。ぜひ、この説明を参考にして、お庭、鉢等で育ててみてください










 花菖蒲の室内栽培法       鳥取県 山脇信正     

1 この栽培方法の三つのねらい。
@ 花菖蒲の大衆化(インドア・プランツ)をめざして。
従来、花菖蒲園に行って観賞するひとはア多いのですが、家庭で育てて楽しむ人は極めて少ないです。温室がなくても窓辺で手軽に育てることが出来れば、花菖蒲がより身近な花となり、もっと愛好者が増えると思います。また、開花を待ちながら花菖蒲の魅力の一つである剣状の葉の成長を身近で観賞し、暖かい室内で春の息吹を感じることも楽しみの一つになることでしょう。

A 観賞期間の延長
通常、花菖蒲の開花期はとても短いものですが、この栽培方法を取り入れることにより、早春より花を咲かせ観賞期間を延ばして楽しむことが出来ます。
B 株分け作業の分散化
株分け作業は、花期の終わる六月下旬から七月下旬に集中して行われますが、栽培家にとってこの時期はたいへん多忙な時期となります。開花を早めることにより、3月下旬頃から株分け作業が可能となります。3月〜5月に株分けした苗は、活着もよく2ヶ月あまりで立派な苗に育ちます。

花菖蒲は、休眠期に入りすぐに温度、日照を与えると目を覚まし生長し始める特性があります。この栽培方法は、その特性を生かしたものです。

2 本植えの時期
春に株分けしたポット苗を九月末〜十月頃までに本植えします。鉢に直接本植えしてもかまいません。早咲きで、草丈の低い品種を選びます。品種としては、影法師、早春、桃杖、麦秋、愛娘等々。鉢は五〜六号鉢を用い、土は荒木田(無肥料)を使用します。固形発酵油かす(骨粉入り)を十五〜二十粒鉢の上に置き肥をします。直接本鉢に植える場合は、肥料は活着してから与えます。

3 鉢を室内に取り入れる時期
十二月の中頃に室内に取り入れます。以後、少しづつずらして室内に取り入れると三月中旬頃から順次花を咲かせ続けることができます。鉢を室内に取り入れる時期は、葉が枯れて休眠期に入った頃が目安となります。

4 鉢の置き場所
室内の日当たりの良い窓辺に置きます。夜間ストーブを焚き、蛍光灯を使用する窓辺が最適です。花菖蒲は長日植物ですから日照が必要です。夜間のストーブは、温度を補い、蛍光灯は日照を補います。夜間の室温は十六℃位。昼間は加温しませんので十℃以下になります。夜間の照明は、十時頃までとします。

蕾が膨らみ色づき始めたら、室内の好みの場所で咲かせましょう。蕾が色づくと室内のどこでも、蛍光灯(電灯)の明かりで見事に花を咲かせます。

5 水と肥料の与え方
受け皿に水を張って与えます。やや深めの受け皿を用い水は、切らさないようにします。花菖蒲は特性として常時水に浸っていても根腐れを起こしません。そこが他の草花栽培との大きな違いです。(水陸両用植物です。)
花の時期が終わるまで十分水を与えます。この時期の水は花芽を作るのにとても大切です。

肥料は、九月、十月、十一月、十二月に一回、固形の発酵油かす(骨粉入り)を鉢の表面に十五〜二十粒置き肥をします。十二月以降は与えません。肥料は鉢の上から、水は鉢の下からを原則にして与えます。

6 花の咲く時期
露地植えより約三ヶ月早く、三月下旬頃から四月に花が咲きます。この時期は気温が低いため、ゆっくり開花し、一番花、二番花と二週間以上花を観賞することが出来ます。室内なので風もなく花も完全に伸びきって咲き、特に肥後系の大輪花はみごとに咲きます。

7 その他の手入れ
鉢に満遍なく日光が当たるように、時々鉢を回してやります。
メイチュウ、アブラムシ等の発生には、オルトラン粒剤を散布します。
株元の枯れ葉を取り除き、株元をすっきりさせましょう。

「菖蒲」の漢字はショウブともアヤメとも読むことです。色々調べまして、ちょっと理解し難い所もありますが、中国では、サトイモ科の蒲(がま)の穂に似た花を咲かせる石菖(せきしょう)の事を「菖蒲(アヤメ)」と呼んでいましたが、これが日本に伝わった時、同じ仲間で同じ様に蒲の穂に似た花を咲かせ、根が白い現在のショウブである「白菖」に「菖蒲」の漢字が当てられ、アヤメと呼ばれていたようで、万葉の時代は、「菖蒲(アヤメ)」は、現在のショウブを指します。そして、葉の形が似ており綺麗な花を咲かせるハナショウブを「花菖蒲(ハナアヤメ)」と呼ぶようになりました。平安時代からは字音で「菖蒲」を「ショウブ」と呼ぶようになり、「花菖蒲(ハナアヤメ)」も「花菖蒲(ハナショウブ)」の呼び名になります。現在のアヤメですが、葉が並列して立っており美しい文(あや)があるという意味で「文目」、さらに花の模様から「綾目」と呼ぶようですが、こんなことから最終的にこの植物に、「菖蒲(アヤメ)」の名前が残ったようです。
種類 大別すると江戸系,肥後系,伊勢系の3系統になります。

江戸系 江戸時代初期に家康,秀忠,家光の三代将軍の花好きが元でさまざまな草花が江戸に集つまり、当時の江戸は世界に類を見ない園芸都市だったそうです。こうした中、ハナショウブも各地からさまざまな変わり花が江戸に集められ、次第に改良され、発達しました。そして最大の山は、江戸時代の末期、旗本松平左金吾定朝、通称菖翁(1773〜1856)が、200品種をはるかに越えるすぐれた新花を育成し、不朽の名著「花菖培養録」をあらわしました。こうして江戸で大成したハナショウブを中心に、現在まで改良が続いてきた品種群が、現在、江戸花菖蒲と呼ばれる系統です。江戸花菖蒲は主に花菖蒲園に植えて、群生の美しさを鑑賞してきた系統なので、風雨に強く、草丈も比較的高く、すっきりとした感じの花が多く見られます。ハナショウブ独特の花容表現で、三英花、六英花(さんえいか、ろくえいか)と言う物がありますが、外花被(外側の大きな花弁)が三枚のものを三英花、六枚のものを六英花と呼びます。江戸系の主流は三英花です。又、受け咲きという花型もあり、これは花弁があまり下に垂れないタイプです。江戸っ子のさっぱりとした気質が、花弁がだらしなく垂れるのをあまり好まなかった事から作り出されたようです。

肥後系 江戸時代末期の天保から弘化、嘉永年間にかけて、肥後藩主の細川斉護公が江戸の松平菖翁より花菖蒲を譲り受け、藩士の間にその栽培・育種を奨励し、室内鑑賞(鉢植え)を対象に育種をきそい合い、驚くべき発達をとげたのが、熊本花菖蒲です。この系統は門外不出という満月会の掟のため、広く一般に知られるようになったのは昭和に入ってからだそうです。肥後系は主に六英咲きの大輪で、鉢で栽培して室内で鑑賞する事を目的としています。露地栽培では大輪の花が風雨に弱く群生美にかけ、繁殖も江戸花菖蒲にくらべやや劣る品種もあるなどの欠点があります。肥後系独特の花容表現として、正花(せいか)本花(ほんか)があり、これは、花容が整然と整っており、花弁がよれたり、波打つなどの癖がなく、雄雌の蕊も整っており、異様な咲き方をしないことを言うそうです。

伊勢系江戸系、肥後系とは別に、江戸中期、伊勢松阪の吉井定五郎によって栽培が始められ、発達したのが伊勢花菖蒲です。後に、伊勢菊、伊勢撫子とならんで、伊勢三品と言われるようになります。三英咲きで花被が垂れ下がるものばかりを選抜した系統で、鉢植えや茶庭の植え込みにも適しています。

但し、最近ではそれぞれに交配され、さまざまなタイプが入り交じってしまったので区別がつかなくなってきています。
(http://homepage3.nifty.com/chehof/essay/e09.htm より引用)

万葉集の花   花勝見
萬葉集總索引單語編 正宗敦夫編(白水社版)972頁

   中臣女郎贈大伴宿禰家持歌五首
娘子部四咲澤二生流花勝見都毛不知戀裳摺可聞   をみなべしさき澤におふる花がつみかつても知らぬ戀もするかも

 花勝見は野生の花菖蒲にて日光にては赤沼アヤメといふ。
   あやめより小さく五六月頃に花咲くものにて花の色は紫赤にて今も或地方にては花ガツミといふとぞ。

 カツミは菰にて花カツミと同物にはあらず。又花勝見の花は三瓣にて四瓣にあらず。
萬葉集新考第二・巻4 井上通泰著(國民圖書)759頁より

(http://www21.ann.co.jp/senka/hana3-3.htmより引用)

昔から「いずれあやめか杜若」と美人の形容詞にされているように,野に咲く紫色の花は優雅で美しい花です。また,これは,アヤメとこれに似た他の花を区別することが,一般的に難しいことを言っているのです。
 アヤメは花菖蒲(はなしょうぶ),杜若(かきつばた),鳶尾草(いちはつ)などを含むアヤメ属の総称で,植物学上ではシベリアアヤメをさします。狭義のアヤメは,本州,北海道,シベリアに分布しており,ハナショウブやカキツバタに比べればやや地味な花をつけます。湿地には適さないので,昔から庭などにも植栽されています。ふつうにアヤメと私たちが言っているのは,ハナショウブです。
アヤメの名前の由来には諸説がありますが,剣のような形をした葉が繁るようすが文目(あやめ)模様に似ているという説や花のつけ根に網目状の模様があるからという説などがあります。ちなみに,あやめ属の属名はIrisですが,ギリシア語で虹を意味します。花が虹のように美しいことに由来しているのでしょう。
「伊勢物語」で在原業平(ありわらのなりひら)が「かきつばた」の五文字を詠みこんだ歌は,あまりにも良く知られています。
唐衣(からころも)着つつなれにし妻しあれば はるばる来ぬる旅をしぞ思ふ 
ハナショウブやカキツバタは,湿地や水辺をこのんで生育しますが,イチハツは日当たりのよい場所を好み,乾燥にも耐えますから,庭植えに適しています。
ところで,菖蒲(しょうぶ)が出てこないと思われるでしょう。万葉時代からショウブをあやめ草などとして歌に詠まれています。これらは,アヤメの仲間ではなく,サトイモ科ショウブ属の仲間で,アヤメとは無関係のものです。花は,見るべき美しさはこれといって何もありませんが,葉や茎,根などに香りがあり,葉も美しいことから古くから親しまれています。この仲間でやや小型のセキショウがありますが,中国では,菖蒲といえば,この植物を指します。
 ショウブ(あやめ草)には,強い香気のあることから,この香りが邪気を払うとして,5月5日の端午の節句には,風呂にいれたり,頭に巻いたり,屋根の軒先にさしたりして、古くから用いられてきました。各地の水辺にふつうに見られる身近な植物です。
「万葉集」では ほととぎす厭(いと)うふ時なしあやめぐさ 縵(かつら)にせむ日こゆ鳴き渡れ 作者不詳 (巻十:1955)
「古今集」恋一の最初にあるよみ人知らずの歌は有名です。ほととぎす鳴くや五月(さつき)のあやめ草 あやめも知らぬ恋もするかな よみ人しらず
(これは,恋は盲目という心情を詠んだ歌です。)
いずれにしても,これらに詠まれているあやめ草は,アヤメではなく,ショウブ(菖蒲)です。
それにしても,ショウブは別として,アヤメの仲間は美しいけど,本当に区別の難しい花ですね。
なつかしきあやめの水の行方かな高浜 虚子 にさんにちむすめあづかりあやめ咲く 室生 犀星 (二三日と書かずに平仮名をもちいているところ,少々詠みにくいところなど”犀星”らしい芸の細かさがあると思います。)
(http://www.cc.it-hiroshima.ac.jp/gh/gh390/gh390_kusa.htmlより引用)