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震度7の建築経済学

第30回
三大都市圏は直下型地震にぜい弱

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2007年11月28日

 首都圏、近畿圏、中部圏の三大都市圏は、直下型地震に対してぜい弱で、阪神・淡路大震災をはるかに上回る被害を受ける恐れがある‥‥。国の中央防災会議がまとめた一連の被害想定で、このような深刻な事態が明らかになった。

 中央防災会議は今年11月、近畿・中部直下地震の被害想定を公表した。これを、既に公表されていた東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震の被害想定と比べると、表1のようになる。

表1 中央防災会議の被害想定

地震 全壊・焼失・流失 死者
想定・東京湾北部地震(M7.3) 85万棟 1万1000人
想定・東京都心西部直下地震(M6.9) 79万棟 1万2000人
想定・上町断層地震(M7.6) 97万棟 4万2000人
想定・猿投-高浜断層地震(M7.6) 30万棟 1万1000人
想定・花折断層地震(M7.4) 38万棟 1万1000人
想定・東海地震(M8.0) 26万棟 1万人
想定・東南海(M8.1)・南海地震(M8.4) 36万棟 1万8000人
阪神・淡路大震災(M7.3) 11万2000棟 6434人

 首都直下地震については18タイプ、4シーンの被害想定が行われ、建物の全壊・焼失・流失棟数が最大になるのは東京湾北部地震(M7.3)の85万棟、死者の最大は東京都心西部直下地震(M6.9)の1万2000人となっている。

 一方、近畿・中部直下地震については13タイプ、4シーンの被害想定が行われ、大阪に最大の被害をもたらすのは上町(うえまち)断層地震(M7.6)の97万棟、4万2000人、名古屋では猿投(さなげ)-高浜断層地震(M7.6)の 30万棟、1万1000人、京都では花折断層地震(M7.4)の38万棟、1万1000人であることが判明した。

 これらは、いずれも阪神大震災の11万2000棟、6434人を上回るのだが、なかでも上町断層地震の死者4万2000人という数字が、関係者に大きな衝撃を与えている。

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