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【社会】

保育ママ虐待 区に責任 東京地裁 世田谷区に賠償命令

2007年11月28日 朝刊

 保育士らの自宅に乳幼児を預ける東京都世田谷区の「保育ママ」制度を利用中、当時五カ月の長女が虐待を受けけがをしたとして、医師夫婦が区と保育ママの女(44)=傷害罪で懲役二年六月確定=らに約千六百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十七日、区と女に約七百四十万円の賠償を命じた。

 河野清孝裁判長は、別の乳児に対する女の虐待情報が事前に区に寄せられていたと指摘。「適切な対応をしていれば発生を防げた。調査を怠り、虐待の発生を放置した区には過失がある」と判断。一方で「保育自体は区の事業ではなく(当事者同士が直接契約しており)女は区の『被使用人』には当たらない」として、原告が求めた使用者責任については退けた。

 保育ママは、保育所不足を補うため、保育士などの資格者や研修を受けた主婦らが認定を受け、昼間に自宅で乳幼児を預かる制度。原告側代理人によると、保育ママによる虐待をめぐり、自治体の責任が争われた初の訴訟という。

 判決によると、世田谷区は二〇〇二年十月、研修を受けた女を保育ママに認定。女は〇五年六月と七月の二回、長女をベビーカーに乗せたまま激しく揺さぶるなどして、眼底出血など三カ月の傷害を負わせた。

 

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