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燃えるパリ 05年の暴動再現か
【パリ=山口昌子】パリ郊外で若者2人が乗ったミニバイクとパトカーが衝突し2人が25日に事故死したことで26日夜、前夜に続いて暴動が発生。2夜続いた暴動事件で警官82人が負傷したほか、車や建物などが放火され、2005年秋の非常事態宣言にまで発展した大規模な暴動事件の再現が危惧(きぐ)されており、サルコジ大統領は28日に死亡した若者とエリゼ宮で面会する。
暴動が発生したのはパリ郊外バルドワーズ県の6都市。25日夕方のビリエルベル市での事故発生直後に、同市を中心に移民2世などの若者と警官が衝突。県当局の発表によると2夜続いた暴動で警官82人が負傷し、車63台と図書館や学校、スーパー、警察の派出所など建物5件が放火された。
当局の発表によると、若者側は鉄棒や火炎ビンなどで武装し、警官の中には肋骨(ろつこつ)や鼻の骨などを折られたものや、銃弾を受けたものもいるという。26日夜には隣県エソーヌ県で、乗客が下車した直後のバスや、トラックも放火されたほか、若者と警官計約100人が衝突するなど暴動が拡大する様相を呈している。
当局によると死亡した若者2人は15歳と16歳。ヘルメットを被らずに猛スピードで走行中に、横から出てきたパトカートと衝突して即死した。事故を捜査中の予審判事が両親を訪問し「平和裏に導く行動」(両親の弁護士)を取るなど当局側は慎重な態度を示し暴動の拡大防止に努めている。
05年秋にパリ郊外から仏全域の大都市郊外に拡大し、非常事態宣言や夜間外出禁止令発動にまで発展した暴動の発端も、窃盗容疑で警官に追われていた移民の若者2人が禁止標識のある変電所に逃げ込み、感電死したのがきっかけだ。
パリ郊外をはじめ大都市周辺は失業者や移民など貧困層が多く、犯罪多発地区ともなっている。背景には人種問題や教育問題などがあり、大統領選の争点ともなった。