時流超流

後発薬に「効能追加」の壁

処方箋変更でも普及に疑問符

 「参院選の結果通りになった」

 11月9日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の小委員会。厚生労働省が示した後発医薬品の利用促進案があっさり了承されると、後発薬メーカーの幹部はこう漏らした。

 これまで後発薬の利用に難色を示してきた日本医師会が、この日の会合では「医師の処方権の確保」を前提に厚労省案に賛成を表明した。最大の“抵抗勢力”が豹変した理由は何か。真相は不明だが、後発薬メーカーの幹部は、7月の参議院選挙で推薦議員が落選するなど医師会の政治力が低下していることが一因と見る。

需要増の期待から株価は上昇

後発薬の普及を目指すが…

 高齢化が進展する中で医療費は膨張を続け、2006年度は32兆円を突破した。薬剤費は医療費の約2割を占め、先発薬より価格が30〜70%安い後発薬が普及すれば、そのコストを大幅に削減できる。政府の経済財政諮問会議は、現在20%以下にとどまっている後発薬のシェアを30%に拡大させれば、薬剤費を年間5000億円減らせると試算している。

 今回の利用促進案によって2008年度から薬の処方箋の様式が改められる見通しで、後発薬への変更が認められない場合にだけ医師が「後発医薬品への変更不可」欄に署名する形に変わる。つまり、後発薬が存在する場合は、原則として後発薬を処方することになり、普及率が高い米国やドイツと同じ仕組みが取り入れられる。

 さらに調剤薬局に対する“アメ”も用意した。厚労省は後発薬を調剤した割合が一定以上に達した薬局に対して、調剤基本料を引き上げる方針を打ち出した。これによって、調剤薬局における後発薬の品揃えを充実させる。

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