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産科医療充実へ輪番制整備に1030万円 奈良県
奈良県橿原市の妊婦死産問題などで露見した脆弱(ぜいじゃく)な医療体制を改めるため、県は27日、12月定例県議会(3日開会)に提出する本年度一般会計補正予算案に、重症妊婦の1次救急輪番制の充実に向けた費用1030万円を計上すると発表した。また、医師確保の難しい地域や診療科目への誘導のため、県立医大(橿原市)の学生を対象に、一定期間勤務すれば入学金や生活資金の返済を免除する奨学金制度導入のための条例案も提示。県は「これらの施策で体制を充実させたい」としている。
産科医の1次救急輪番制は現在、奈良市立奈良病院など県内3病院が実施しているが、医師不足などで金曜の夜と日曜の昼・夜が空白となっている。これを埋めるため、県はこれまで、県医師会産婦人科医会に対して開業医の参加を呼びかける一方、輪番制を運営している3病院に補助金を出す方針を示していた。
補正予算案では、輪番制に参加する開業医の人件費などとして671万2000円、3病院に対する補助金として358万8000円を計上。議決されれば、来年1月の運用開始を目指す。
一方、条例化を目指す奨学金制度は、県が医師確保が困難な地域や診療科として指定した医療機関で、県立医大を卒業後に原則9年以上従事した場合、在学中に貸与した入学金や生活資金などの返済を免除する内容。平成20〜29年度に入学した学生が対象となる。
医師確保が困難な地域として県は、五條市、宇陀市、山添村、宇陀郡、吉野郡を、医師確保が困難な診療科としては産婦人科・産科、小児科、麻酔科を提示。
県立医大の入学金は、県内生が28万2000円、県外生は80万2000円。授業料は月額約4万5000円だが、奨学金制度では、入学金全額を負担するほか、授業料を含む生活資金用として月額20万円を提供するとしている。