二〇〇七年は「偽」で決まりかもしれない。日本漢字能力検定協会(京都市)が全国からの応募に基づき、毎年十二月に発表している、その年の世相を象徴する漢字だ。
偽装に揺れた年だった。特に食の偽装が今年ほど発覚した年は記憶にない。期限切れ原料使用の「不二家」に端を発し、北海道苫小牧市の「ミートホープ」の元社長が逮捕された食肉偽装事件。丸亀市ではオーストラリア産牛肉を国産と偽って学校給食に納入、精肉店の店主ら3人が逮捕される事件も起きた。
とりわけ、ショックだったのは「赤福」の製造日、賞味期限の偽装。関西方面に出掛けた際にはよく購入していただけに、嫌な気分にさせられた。菓子・白い恋人の「石屋製菓」、さらに「比内鶏」「御福餅(もち)本家」…。そして高級料亭「船場吉兆」の産地偽装や期限の改ざん。これほど続くと、怒りを通り越して「ああ、またか」としらけに似た感情しかわいてこなくなる。
私たちが食品を買い求める際、よりどころにしているのは産地や賞味期限などの表示。その表示が改ざんされれば、内部告発でもない限り気付くことは不可能だ。「どこも似たようなことをやっているのでは」。一部の心ない業者の行為ではあっても、これだけ相次ぐと、業界全体の体質だと勘ぐってしまう消費者も多いのではないか。
ブランドイメージや信用を築くには長い年月を要するが、崩れ去るのは一瞬。偽装がばれないと思っていると、必ず手痛いしっぺ返しをくうということを分かったことが、今年一年の教訓といえるかもしれない。
(社会部・南條雅彦)