大みそかに抽せんが行われる年末ジャンボ宝くじの発売が、全国一斉に始まった。一等、前後賞合わせて三億円の夢とともに今年も師走の足音が近づいてきた。
高額当せん金が多数出た売り場には長い列ができた。女神はなかなかほほ笑んでくれないが、購入すれば抽せんまでは全員が「億万長者」の有資格者だ。原油高や原材料高に伴う値上げなどで家計が脅かされる中、夢への期待も強まろう。
みずほ銀行の二〇〇六年度「宝くじ長者白書」が一千万円以上の当せん金を手にした人のモデル像を紹介している。男性は六十歳以上のおひつじ座、女性は五十代の水がめ座で、宝くじ購入歴はともに十年以上という。使途は貯蓄や借金返済と意外に堅実だ。
一九四五年十月、政府が戦後のインフレ防止を狙いに発行したのが現在の宝くじの出発点とされる。その後、地方の復興資金調達のため都道府県でも出せるようになり、五四年に政府くじが廃止されて以降は地方自治体が続けている。
当せん金に向きがちな関心を収益金の使途にも注ぎたい。換金の期限切れ分も含め、収益金は自治体の公共事業に充てられている。無駄なく活用してほしい。分配額は地元での販売高に応じて決まる。
地元で購入すればそれだけ地元に貢献することになる。たとえ一獲千金の夢が散っても、地域に役立つとなれば慰めになろう。