守屋武昌前防衛事務次官(63)が防衛専門商社「山田洋行」元専務、宮崎元伸容疑者(69)=業務上横領容疑などで逮捕=から受けたゴルフ旅行接待などが、事務次官の職務に絡むわいろに当たる疑いが強まったとして、東京地検特捜部は28日にも、収賄の疑いで守屋氏を逮捕する方針を固めた模様だ。ゴルフ接待の大半に同行した妻(56)も共謀容疑で逮捕するとみられる。防衛官僚トップを巻き込んだ一連の疑惑は刑事事件に発展する見通しになった。
守屋氏は98年以降、300回以上のゴルフ接待を受けていたほか、長期休暇のたびに北海道や九州などへのゴルフ旅行に宮崎元専務らと出かけ、費用の全額を元専務側に負担させていた。山田洋行元役員室長、今治(いまじ)友成容疑者(57)=有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕=は「防衛装備品の受注や選定で有利な取り計らいを受けたい趣旨だった」と供述し、ゴルフ接待のわいろ性を認めている。
一方で守屋氏は、次期輸送機(CX)エンジンの発注に絡み、宮崎元専務が昨年設立した「日本ミライズ」との随意契約を主張するなど、元専務側に有利な言動を繰り返していたとされる。
特捜部は、守屋氏が多額の利益提供の見返りとして、防衛装備品の納入などで元専務側に便宜を図ったとみている。また、一連のゴルフ接待のうち収賄罪の公訴時効にかからない過去5年分を精査し、約400万円分がわいろに認定できると判断したとみられる。守屋氏の妻についても、大半のゴルフ接待に同行していた上、偽名を使ってプレーしていたことなどから、わいろ性の認識があったとみて刑事責任を追及する方針だ。
特捜部は28日、宮崎元専務らを起訴した上で、贈収賄容疑で強制捜査に乗り出すとみられる。
毎日新聞 2007年11月28日 2時30分