香川県坂出市林田町のパート従業員、三浦啓子さん(58)と、三浦さんの孫娘2人の計3人が行方不明になっている事件で、県警坂出署捜査本部は27日、三浦さんの義弟の元会社員、川崎政則容疑者(61)=高松市国分寺町国分=が「3人を殺して県内の山中に捨てた。1人でやった。子どもは騒がれたので殺した」と認めたことなどから、同容疑者を死体遺棄容疑で逮捕した。捜査本部は遺棄場所や動機などを追及するとともに、今後、共犯の有無も視野に入れながら殺人容疑でも調べる。室内に大量の血痕を残し、3人がこつぜんと姿を消した異様な事件は、親族が容疑者として逮捕されるという新たな局面を迎えた。
三浦さんとともに行方不明になっているのは、三浦さん方の隣に住む無職、山下清さん(43)の長女茜ちゃん(5)と次女彩菜ちゃん(3)。
調べでは、川崎容疑者は15日午後6時ごろから16日午前7時50分ごろまでの間、三浦さん方から三浦さんと孫娘2人の遺体を自分のワンボックスカーに積み込み遺棄した疑い。ワンボックスカー内には血痕が見つかり、鑑定中。川崎容疑者は「16日午前3時か4時ごろ、3人を刃物で刺した。(三浦さん方には)初めて行った」などと供述しているという。
捜査本部は27日、川崎容疑者の供述に基づき、同容疑者を立ち会わせ、瀬戸内海に近い坂出市北部の高台・五色台で3人の遺体や三浦さんの携帯電話、自転車を捜索したがいずれも見つからなかった。28日午前9時から捜索を続ける。
川崎容疑者は三浦さんの亡妹の夫。捜査本部は、三浦さん宅には財布が残されるなど強盗の可能性は低く、交友関係のトラブルなどを中心に捜査。今年4月に病死した妹は三浦さんに金を貸し、「お姉ちゃんのために働かなきゃいかん」と知人に漏らしたこともあった。妻から金を借りる三浦さんと川崎容疑者との間に確執があった可能性があるとみて、27日に本格的な事情聴取をした。捜査本部は、金銭トラブルに起因するえん恨の可能性があるとみて動機などを詳しく調べる。
一方、姉妹は事件発生の前日、たまたま三浦さん方に泊まっていた。川崎容疑者は、三浦さんだけを殺害するつもりだったが「子どもに騒がれたので殺した」などとも供述している。
姉妹は15日午後6時ごろ、三浦さん方に泊まりに行ったが、翌16日午前7時50分ごろ、母佐智子さん(34)が迎えに行った時には3人の姿が消えていた。寝室の床やベッド、玄関、浴室などには血痕が残され、三浦さんの携帯電話や靴、自転車がなくなっていた。県警は18日、坂出署に捜査本部を設置していた。
毎日新聞 2007年11月27日 18時31分 (最終更新時間 11月28日 1時17分)