パリ発--フランスで現地時間11月23日、海賊行為の撲滅を目的とした新制度が発表された。同国で音楽や映画の違法ダウンロードを頻繁に行っているインターネットユーザーは、この制度に基づき、ウェブアクセスを禁じられる可能性がある。
インターネットサービスプロバイダー(ISP)、仏政府、映画や音楽の著作権保有者の三者間で成立した今回の合意は、音楽業界にとっては朗報だ。これまで音楽業界は、売り上げ減の原因となっている違法ダウンロードの阻止を目的としたこのような措置を求めてきた。
この合意案は、フランスの音楽、映画専門の小売最大手の1社であるFNACの最高経営責任者(CEO)が委員長を務める委員会が作成した。今後ISPはこの合意に基づき、ファイルを違法にダウンロードしている顧客に警告メッセージを送付する。
ユーザーがこの警告を無視した場合、アカウントが一時的、あるいは完全に停止される可能性がある。
Nicolas Sarkozy仏大統領はこの合意を支持するコメントの中で、「(今のままでは)文化が本格的に破壊されてしまう恐れがある」と語った。
「インターネットを無法者たちが思うがままに著作物を略奪したり、何ら罰せられることなく著作物を取り引きできるハイテク分野の無法地帯にしてはならない。それで犠牲になるのは誰か。それはアーティストたちだ」(Sarkozy大統領)
この合意に基づき、独立した機関が新たに設けられ、その機関がインターネットユーザーに対し、いつ「電子警告メッセージ」を送付するかの決断を下す。この機関は裁判官の監督下に置かれる。
また今回の合意では、映画製作会社や音楽企業にも一定の義務を負わせている。これらの企業は、作品をより迅速にオンライン上で入手可能にすること、特定のプラットフォーム上で音楽を読み取れないようにするなどの技術的障害を除去すること、の2点を公約している。
また、国際的レコード業界団体もこの動きを歓迎している。
業界団体IFPIのJohn Kennedy会長は、「(今回の合意は)これまで目の当たりにしてきたオンライン海賊行為との戦いに勝利するための最も重要な施策だ」と語った。
「Sarkozy大統領は、指導力と先見の明を示した。大統領は、現代の西洋経済におけるクリエーティブ業界の重要性を理解している」(Kennedy氏)
今回の合意には23日に複数の企業が調印したが、フランスの消費者団体や政治家からは、この合意には制約が多すぎるとの声も上がっている。
消費者団体UFC Que Choisirは、海賊行為に対する罰則規定はすでに存在するとし、今回の合意は「極めて厳しい内容であり、自由の崩壊を招く恐れがある。また反経済的であり、デジタル分野の歴史にも反する」と指摘した。
Sarkozy大統領は、新システムの効果が明確になるには時間がかかるが、目的を達するだろうと述べた。
「もし、機能するなら同じ方法を維持する。もし、十分に機能しないなら、結果が得られる対策を実施する」(Sarkozy大統領)
この記事はReutersのニュースを契約の下、シーネットネットワークスジャパン編集部が編集したものです。海外Reutersの記事へ
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