内野聖陽さんの「風林火山」トーク 番外編

勘助の上田原1

晴信の暴走を静観
肩身が狭い勘助

 志賀城攻めのころから晴信の暴走が際だってきました。これまで連戦連勝で負け知らずの戦いを続けてきたことが、晴信に“負ける怖さ”を植え付けてしまったんですね。負けたくないから強引に攻めていく。信濃最強の村上義清との戦いにも、謀略なしの力攻めで臨もうとしています。この時の晴信はいろいろな感情が絡み合って、どうにもコントロールがきかなくなっている感じ。勘助が何か言うたびに『控えよ勘助』とか『黙れ!』と言われてしまい、勘助としては非常に肩身が狭いところです(笑)。

 ただ武田の軍師として、ここでお屋形様が『負けることとはいかなることか』を知っていただきたいとの思いから、勘助は愛情を持って静観するという道を選んでいきます。

しかし、そんな勘助の態度が武田家譜代の甘利虎泰には理解し難い。村上との戦いは犠牲が大きいから止めなくてはいけないのに『なぜ、おまえは止めないんだ』と、ひどく叱られます(笑)。『お前はよそから来た人間だから武田の痛みがわからんのだ』と責められてしまう。上田原前後の勘助は『本当の痛みや敗北者の屈辱を知ってこそ、よき領国の主となれる』。そう信じて、じっと耐えるのでした。(つづく)

 
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