景虎の居城・春日山城にある毘沙門堂として建てられたセットは八角形。法隆寺の夢殿が有名だが、ふつうお堂のような小さな建物は四角すいのような形の“宝形造(ほうぎょうづくり)”が多い。不動明王をまつる不動堂などもこの形で真上から見ると四角形になる。今回は、あえて武田家との違いを強調する狙いもあって毘沙門堂を八角形にした。 また、極彩色の不動堂に対して、毘沙門堂は護摩壇の火がめらめらと映り込んでいく感じを表現するため、色彩は出来る限り抑えた。それによって八角形の密室感がさらに増している。
“謙信と信玄”という戦国最大のライバルにふさわしく、毘沙門天と不動明王もその違いがはっきりとわかるデザインになっている。 不動明王は、第1回の放送から登場しているうえ、背に立派な火えんを背負っていてインパクト十分。そこで、毘沙門天は高いところから世の中を見据えているかのような立像にして、座像の不動明王とのコントラストを明確にした。