インタビュー 長尾景虎(上杉謙信)役 ガクト 景虎の独自の世界を僕なりの表現で

髪型や衣裳にこだわり

 今回、僕が長尾景虎(上杉謙信)を演じることで、若い人たちが『景虎というのはこういう人物だったのか』と興味を抱く、そんなきっかけの一つになればいいと思っている。僕にしかできない景虎をやることで、また面白いものも届けられるんじゃないかな。
 景虎は、武田の前に立ちはだかる強大な存在であり、越後という国を治めるカリスマ的な武将。神がかっている部分もあれば、少し狂気じみてもいる。感情がなかなか表に出ないけれど、ある種の潔癖さゆえに“正義”という名のもとでしか物事の尺度が測れない人物でもある。それが、いい方向に向かうこともあれば悪い方向に作用する時もあって極端だよね。
 髪型や衣裳にこだわったのも、そんなふうに少し変わっているけれど、圧倒的な存在感で人々を引っ張っていく彼の力のようなものを視覚的にも表現したかったから。『こういう形でやらせてほしい』ということを、プロデューサー、ディレクター、衣裳部のスタッフに伝えて、何度も話し合って、いまのような髪型と衣裳になったんだ。

動きを見せる、内面を感じとる

 収録の初日は殺陣のシーンから。元々、空手、ボクシングなどの格闘技をやっていたから、剣を使う動きも含めて武術的なことに関しては、それほど難しいとは思わなかった。ただ、実戦的なやり方と、画面を通して迫力がある動きというのは、やっぱり違うんだよね。映像という“つくられた世界”の中で、いかによく見せることが出来るか。にしなければいけない。その部分で少しとまどいはあったけれど、慣れれば問題ないと思う。
 逆に護摩をたき真言を唱えるシーンでは、セットに入った瞬間から自分のためにそのシチュエーションがあるという感覚になった。真言を単に読み上げるだけというふうには思わなかった。すべての言葉には意味があり、魂があるわけだから。そう思えば、セリフが難しいとか、読みにくいということもなくなる。
 そもそも真言を唱え、護摩をたくのは『オンベイ シラマンダヤ センチキ ヤソワカ』という言葉の中に、百八つの煩悩を一つ一つ焼き尽くすという意味がある。僕も、自分の中の煩悩を払いのけ、心の中の忌まわしいものが消えるように願いながら、真言を唱えていたんだ。

 
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