ヒサの初登場は12歳でしたから、まだほんの子どもでした。でも男気(!?)があって、曲がったことが嫌いで、素直で、愛らしいというのが最初の印象。とても魅力的な女の子だなと思いました。 平蔵のことは、きっと出会った瞬間に、自分でも気づかないうちに一目惚れしてしまったんでしょうね。その時はまだ子どもだったけれど、その思いは大きくなるにつれて恋になっていった。でも当の平蔵は矢崎家の使用人だから『自分なんか・・・』と身を退いてしまう。そこで、ヒサの方から(笑)積極的にアプローチしていったんです。父上にも『平蔵と一緒になりたい』と訴えたりしましたからね。 なぜヒサがそんなに平蔵に心を引かれたのかと言えば、やはり自分と正反対の性格だったからだという気がします。平蔵はどちらかというと弱くてダメで(笑)、でもすごく優しくて思いやりがある。ああいうタイプの男性に会ったのは初めてのことで母性本能をくすぐられたんでしょう。 最近になって、ようやく平蔵と一緒にいることを父上にも許されて、恋をする女性としてのヒサは今がピークと言えるかも知れません。でも、それはヒサの嫁ぎ先が諏訪を裏切り武田側についたことがきっかけなのだから、悲しいですよね。そのことを父上と平蔵に知らせなくてはと婚家を飛び出し、その途中で高遠勢の雑兵たちに辱めを受けてしまった。もう、こうなったら生きていられない。平蔵と父上に知らせたら自害しようと心に決めたのですから。 戦がこんなふうに1人の女性の運命を変えてしまうというのが、とても辛いですね。ヒサのような役どころは初めてなので、わからないこと、難しいことがたくさんあります。でも、とても勉強になることが多く、演じがいがあります。
大河ドラマは初めてです。1年間という長いスパン、それも12歳から最終的には40歳くらいまでの年齢を演じるのも初めてのこと。1人の女性の半生がどう変化していくのか。見た目は、年齢に応じたかつらや着物の色などで変えていけると思うので、ヒサの心情の部分、その移り変わりをどう表していけばいいのかということを一番に考えています。 平蔵との出会いがヒサのスタートでしたが、やがて2人は夫婦になり、子どもも生まれます。これまでは、私の実年齢である23歳までのヒサを演じていたのに、これからは未知の領域(笑)。年齢を重ねる中で、ヒサがどんなふうに大人になっていくのか。そのあたりも、とても楽しみです。 平蔵役の佐藤隆太さんとは、今までも何度かお仕事をさせていただいたことがあるのですが、恋人というか、相手役というのは初めてです。ふだんは明るくて軽やかで、お芝居する直前まで、おしゃべりしていたりするんですよ。でも本番になると一瞬にして表情や雰囲気が変わり、平蔵そのものになってしまう。2人のやりとりも、私が『どうしたい』と言わなくてもわかってくれるんです。とても信頼できる役者さんです。 山本勘助を演じる内野聖陽さんは、背中で炎が燃えているかのような(笑)、ものすごい熱気を持った方。ご自分のお芝居だけでなく、私や平蔵のことなど、周りにも気を配っていただける。常に全体を見渡し把握していて、すごいなと思います。 そして本番の一瞬に、勘助の思いのたけをすべて込められる。スタジオを内野さんのパワーやオーラでいっぱいにしてくれます。ご一緒できて本当に光栄です。