インタビュー 禰々役・桜井幸子 禰々の悲しい運命は演じていても辛いですね

けなげなまでに兄を信じた禰々が悲しすぎます

 撮影に入るまでに禰々という女性の背景を調べようとしたのですが、あまり資料に出てこないんですよね。存在を知っている方もそれほど多くないんじゃないかしら。私も正直知らなかったので、今回どういう人物であったかを台本を通して整理しながら自分で作り上げていくという感じでした。
 そこで改めて思ったのは、この時代の女性があまりに辛く悲しい生涯をたどったこと。禰々が政略結婚で諏訪頼重に嫁いだのは、まだ12〜13歳のころ。その歳で、『武田家のためになるなら喜んで』と言ってしまう。その潔さが逆に切ないですね。女性は命じられるまま動く駒のような存在で、今の私たちには信じられないことばかりです。
 ただ、そういう形で嫁がされた禰々も頼重とはいい夫婦関係を築けたと思います。寅王丸も生まれて、その時はとても幸せでした。禰々の登場シーンで唯一笑顔だったのが、そこだけでしたから(笑)。
 でも直後に武田が諏訪を攻撃してきて、禰々としてはとても辛かったと思います。けなげなまでに兄・晴信のことを信じ、由布姫に向かって『兄は絶対に悪いようにはしない』とまで伝えています。日ごろ、ほとんど自分の意見を言うことがなかった禰々が、そこまで自分を出したのに最終的に晴信に裏切られてしまった。禰々はすごく傷ついたと思うし、演じている私も本当に辛かったです。

悲しいシーンの連続に由布姫と2人で嘆いています

 大河ドラマは、お芝居はもちろんですが、まずは体力が第一ということを実感しました。重い打ち掛けを着て、重いかつらをつけて美しく歩くというのがすごく難しいんです。頭部が後ろにひっぱられる感覚で、収録が終わって外すたびに毎回ホッとしています(笑)。
 でも、打ち掛けの美しさや、初めてのかつら、セットの見事さなど、まるでタイムスリップをしているかのような貴重な体験が出来て、それはとても楽しいですね。
 共演者の中で、頼重役の小日向文世さんとは別のドラマでご一緒したことがあったので安心感がありました。由布姫を演じる柴本幸さんとも女性同士なので、よくお話をします。禰々も由布姫も悲しいシーンばかりなので、2人で『きょうも辛いわね』って慰め合ったり(笑)。由布姫はこれから大変なシーンが多いので、禰々としては陰ながら見守っていきたいと思いますね。
 今回、禰々を演じて思ったことは、歴史からも忘れ去られてしまった女性たちの悲しい人生を、ドラマを通して多くの方に知ってもらいたいなということ。戦った男性たちを陰で支えていた女性たちの悲しみや苦しみを少しでも伝えられたらと思っています。

 
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