現在位置:asahi.com>ニュース特集>守屋前次官問題> 記事 山田洋行が口利き依頼 「防衛族」団体に2007年11月27日10時01分 軍需専門商社の「山田洋行」が06年夏ごろ、旧陸軍の毒ガス弾処理事業の下請け契約打ち切りをめぐって、有力な防衛族議員が理事を務める社団法人「日米平和・文化交流協会」に口利きを依頼していたことが関係者の話でわかった。同協会常勤理事の秋山直紀氏は日米の軍需産業と政界を結ぶパイプ役とされ、同協会の前身の「日米文化振興会」自身も同じ事業の調査委託業務を受注していたが、この契約にも疑問の声が上がっている。 協会理事には久間章生・元防衛相らが名を連ね、過去には額賀福志郎・財務相や石破茂・防衛相も理事を務めた。東京地検特捜部に業務上横領などの容疑で逮捕された「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者(69)も昨年まで理事。特捜部は元専務の容疑に関連して同協会の事務所を捜索し、押収資料の分析を続けている。 防衛省などによると、福岡県苅田町(かんだまち)の苅田港で00年、航路拡張工事に伴う海底調査で旧陸軍の毒ガス弾が見つかり、処理が必要になった。第1期(04年度)、第2期(05年度)の事業は防衛庁(当時)が所管。06年度の第3期事業以降は国交省が業務を引き継ぎ、現在は第4期事業が継続している。06年度までに1200発以上を処理している。 事業開始のため、防衛庁は03年11月、一般競争入札を実施。山田洋行は引き揚げ作業にかかわる米国人の潜水士を手配するための代理店として、事業を落札した大手鉄鋼メーカーの下請けに入った。しかし、第2期の途中で、国内の潜水業者と直接契約することになり、山田洋行の下請け契約は打ち切られた。 山田洋行関係者によると、同社は下請け契約を打ち切られたことの埋め合わせとして、同じメーカーの別の事業に参入して利益を得ることを計画。協会に口利きを依頼したという。 この大手鉄鋼メーカーと山田洋行との間では、口利き依頼の時期に近い06年9月、苅田港で使われたのと同じタイプの処理装置をベルギー政府に納入する際の「協力手数料」名目で約4400万円を支払う内容の契約が結ばれ、同年12月に支払いがあったとされる。 一方、日米文化振興会は第1期事業の開始を控えた03年2月、防衛庁が実施した一般競争入札で、毒ガス弾の処理方法などについての調査委託業務を約900万円で落札した。この受注をめぐっては、今月22日の参院財政金融委員会で委員から「定款外の事業で、受注できないはずではないか」と問題点が指摘され、「会の内部に毒ガス弾処理に詳しい有識者がいたのか」などの疑問も示された。定款は「日米両国の文化の交流を行い、日米両国民の親善を図る」目的で「両国の文化交流に関する講演会や研究会を開催するなどの事業を行う」などと定めている。法人名は06年6月に変更された。 秋山氏は朝日新聞記者の取材に文書で回答し、山田洋行からの口利き依頼を否定した。大手鉄鋼メーカーは、秋山氏からの働きかけについて「一切ありません」としている。 PR情報この記事の関連情報守屋前次官問題
|
ここから広告です 広告終わり どらく
一覧企画特集
朝日新聞社から |