「地域医療の崩壊を食い止め、国民の安心を守るため、診療報酬の引き上げを要望する」。日本医師会は11月26日までに「国民が安心できる医療のために―産科・小児科・救急医療を守る―」と題した提言を発表した。日医は「診療報酬の5.7%引き上げで、産科・小児科・救急医療の建て直しを目指す」と主張している。
日医は、たび重なる診療報酬のマイナス改定によって「2007年度には名目GDP(国内総生産)と診療報酬との差が9.3ポイントにまで拡大している」ことを挙げ、「地域医療の崩壊が現実化している」と危惧。病院・診療所の経営に関しては、「ともに減収・減益で、特に利益が大幅に縮小している。損益分岐点比率は90%を超えて『危険水域』に突入している。医業経営基盤が揺るげば、最低限の医療提供体制も維持できない。ましてや質の向上は不可能」としている。
特に、産科・小児科について、「産婦人科では、分娩実施施設数が減っており、妊婦の救急受け入れが拒否されるケースもある。また、小児科を標榜する医療機関も減少している上、過労死する医師には小児科医が少なくない」と指摘。救急医療に関しても、軽症患者の増加が問題視されている一方、中等症および重症の患者も増えている。22都県では、患者を医療機関に届けるまでに30分以上かかっている」と問題点を挙げている。
こうした見解を踏まえ、日医は、国民のニーズにこたえられるような医療安全対策を実施するための「医療安全対策」に0.9%▽環境変化に少しは耐えられ、医療提供体制を最低限維持できるようにする「地域医療の崩壊阻止」に3.8%▽疲弊しきった医師らが再び診療の活力を取り戻せるようにする「医師の質の確保」に1.1%−と5.7%の診療報酬の引き上げを要求し、「まず、産科医療・小児科医療・救急医療の建て直しを目指すべき」と訴えている。
更新:2007/11/27 キャリアブレイン
医療ニュースデイリーアクセスランキング
※集計:11/26
医療ニュースアクセスランキング
※集計:11/21〜11/26