院長が辞職願を提出した「上田市産院」(同市常磐城)について、上田市の母袋創一市長は26日、助産師が医師に代わって検診などを行う「助産師外来」を今年度中に新設する方針を明らかにした。ただ、新たな医師の確保については見通しが立っていないため、年間の分娩(ぶんべん)数を200件程度減らして、乗り切る構えだ。
母袋市長は、この日開かれた市議会全員協議会で、「全国的に産科医が不足して新たな医師確保が困難な現状だ。産科医の負担を減らすため、医師の管理の下、助産師外来の導入を考えていきたい」と述べた。その上で、現在約700件ある同院の分娩数については「約500件を目指したい」と語った。
今後の医師体制に関し同市では常勤医1人、非常勤医1人の計2人体制を維持する。ただ、非常勤医の勤務を現状の週3日から週4、5日に増やす方向で調整に入っている。来年4月までの分娩は予約通り継続する。
一方で、一部住民らが要望している助産師が分娩を主導する「バースセンター」や「院内助産院」の設置について、母袋市長は「訴訟のリスクもあり、国などが法的な体制を整えてから検討すべきだ」と述べ、否定的な見解を示した。
また、母袋市長は甲藤一男院長(57)の辞職願を21日付で正式に受理したことを明らかにした。
甲藤氏について、同市長は「非常勤ということも含めて、何らかの形でかかわってもらうことを要請している」と語った。【川口健史】
毎日新聞 2007年11月27日