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社会

県内自治体割れる対応 コムスン不正受給問題

 「コムスン」の介護事業所指定打ち切り問題で、兵庫県内の各市町がコムスンに不正受給分の返還請求をしたが、罰金に当たる加算金を上乗せしたかどうかで対応が真っ二つに分かれている。介護保険法には「(加算金を)支払わせることができる」とあり、県は各市町に判断を任せた。加算金を科した自治体は「組織ぐるみで悪質」とし、見送った自治体は「人員配置は問題だが、サービスは提供されていた」などが理由だ。異例の事態に、専門家は「結論に至ったプロセスの検証を」と求めている。(中島摩子)

 不正受給額は八カ所で約一億四千万円に上り、県は全額返還をコムスンに指導した。返還請求は介護保険の運営主体の市町(保険者)が行い、返還額の40%を加算金として上乗せできる。

 県福祉法人課の調べでは、不正が発覚した八カ所の事業所に利用者がいたのは十八市町。うち加算金を求めたのは神戸、小野、たつの市など十六市町、返還請求にとどめたのは豊岡、明石市だった。

 「加算をしたり、しなかったりがあると混乱する」などと、加算方針を通知した大阪府のケースもあったが、兵庫県は「加算はあくまで保険者の判断」と市町に対応を委ねた。

 北播磨では各市町の担当者が協議し「不正の内容が悪質で、法律でも加算が認められている」と、統一して上乗せすることに決定。小野市は返還額が約二千百万円、加算金が約八百万円で今月中旬に請求した。「ほかの事業者に対する抑制効果がある」(伊丹市)などの理由もあった。

 逆に、豊岡市では「事業所開設の期間が短く、利用者が少ない上、引き継ぎもされたので混乱がなかった」などとし、返還額の約二十三万円だけで加算金を求めなかった。明石市も「サービスはちゃんと提供されていた」と判断したという。

 介護保険に詳しい関西国際大の長谷憲明・学長補佐(福祉政策)は「バラツキは地方分権なので構わないが、大事なのはどういう考え方のプロセスを踏んだか」と指摘。「介護保険法の基準があいまいな中、説得力のある理由を導き、検証することが問われる。各市町が介護保険の運用を成熟させる契機に」と話す。

 コムスンの介護報酬不正受給問題 今年6月以降、兵庫県内の訪問介護事業所40カ所(閉鎖含む)のうち8カ所で、在籍していないヘルパーを雇用したと虚偽の申請をし、事業所の指定を受けた-などの不正が発覚。厚生労働省は事業所の指定打ち切り処分を下した。同様の不正は全国各地の事業所でみられ、各自治体が返還を求めている不正受給額は、少なくとも14億円とみられる。問題を受け、県内のコムスンの在宅サービスは12月1日、「ニチイ学館」に譲渡される。

(11/25 08:42)

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