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老化の記憶障害も関与 アルツハイマー原因たんぱく

2007年11月26日

 老化にともなって記憶障害が起きる仕組みに、アルツハイマー病にも関与する異常化したたんぱく質がかかわっていることを、理化学研究所・脳科学総合研究センターのチームが動物実験で突き止め、欧州分子生物学会誌に発表した。脳の嗅内野(きゅうないや)という場所にこのたんぱく質が蓄積し、神経細胞どうしの連結部(シナプス)の減少を引き起こしているという。アルツハイマー病の早期発見法の開発につながる可能性がある。

 同センターの高島明彦チームリーダーらは、人間の「タウ」というたんぱく質を持ったマウスを、遺伝子操作でつくって観察。老化にともなって、普通のマウスより学習や記憶能力が衰えることを確かめた。

 このマウスの脳を調べると、記憶をつかさどる海馬に情報を送る「嗅内野」の活動が低下していた。タウにリン酸が異常にくっついて蓄積。これにより、神経細胞どうしを連結するシナプスの数が減っていた。こうした異常が、記憶障害の原因と考えられるという。

 アルツハイマー病では、リン酸化したタウがさらにたまり、嗅内野から海馬や大脳新皮質で神経細胞が失われることで、記憶障害や認知症を引き起こす。

 高島さんは「老化にともなって最初に嗅内野の機能が衰え、やがて海馬に広がり、アルツハイマー病につながっていくと推定される。早期発見や病気の予防法の開発などに結びつけていきたい」と話している。

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