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2007年11月27日

 戦後の政界汚職を描く「点と線」がテレビドラマ化された。松本清張の原作はあまりにも有名だが、脚本が本紙に連続エッセーを執筆中の竹山洋さんで、興味深く見た

アリバイ崩しがポイントである。鉄道ダイヤでは解けないナゾが航空機で崩れる。札幌と福岡を空路で継ぐアイデアは五十年前だから使えた。今なら陳腐な筋だが当時は、アッと驚かせた

古典と呼ばれるほどの名作は、恋や愛、生と死など人間の変わらぬ姿を描きながら、戦争や闘争など社会の実像をえぐるニュース性が必要と言われる。「点と線」はもう一つ永遠のテーマがあることを示していた。汚職である

時代と地域を問わず、人間社会のあるところ、古今東西絶えることなく続く犯罪である。これも人間の普遍的な姿と言っては悲しいが、時代は変わっても同じことを繰り返す。現在の日本もその渦中にある

ドラマの刑事はしきりとメモをした。記録しないと記憶は消えるからだ。最近は「記憶」も「記録」もない人がいる。アリバイを主張するためのようだが、下手な言い訳がしばしば墓穴を掘ることになる。学習効果?がないのも汚職の特徴だ。


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