笠岡湾干拓地(笠岡市)がにぎやかです。十月には「第二回べいふぁーむ駅伝」が開かれ、岡山、広島県の社会人、実業団の二十五チームが駆け抜けました。今月十八日には市民ランナー千二百人が参加した「べいふぁーむ笠岡マラソン大会」がありました。
まだまだあります。毎夏開かれる「大空と大地のひまわりカーニバル」では“百万本”のヒマワリの上空を、干拓地内の笠岡ふれあい空港から離陸した軽飛行機やヘリコプターが飛び交う航空ショーを見物に、多くの人々が訪れます。秋の「ラジコンヘリコプター国際大会」には国内外のトップ選手が集います。自転車オフロードレースBMXの公認コースも整備されていて、昨年十月には世界大会がありました。
ただ、もともとスポーツやレジャーのために造成されたのではありません。一九九〇年、二十四年の歳月と約三百億円の国費を投じた干拓事業の目的は、紆余(うよ)曲折はありましたが、畑作や畜産のための広大な農業用地を創出することです。
事業完了から十七年。県の営農計画の頓挫や安価な輸入野菜との価格競争など幾多の課題も抱える干拓農業ですが、最近多様な可能性が芽生え始めています。笠岡市が進める、ガソリンの代替燃料となるバイオエタノール実証プラントの誘致やヒマワリを利用した食用油の産地化に向けた取り組み。干拓地内を通る国道2号笠岡バイパス沿いに地元物産を販売する「道の駅」整備の計画もあります。こうした「芽」が成長し、地域に大きな「実り」をもたらしてくれればと願います。
(笠岡支社・河本春男)