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【三重】

1カ月の時間外100時間超 勤務医の3割が過重労働に

2007年11月27日

 病院に勤める医師の三割が時間外労働を一カ月に百時間以上こなし、当直明けでも七割近くは普段と同じ仕事−。県医師会が県内の勤務医を対象にした初めてのアンケートで、過酷な労働実態が浮き彫りになった。二割以上が自分の子どもに「あまり」「絶対に」医師になってほしくないと考えている。十二月二日のシンポジウムで公表される。

 県内の百十病院に二月、全六十三問のアンケート用紙を千九百八十一部配り、千百八人から有効回答があった。

 週平均の労働時間は「四十時間以上五十九時間未満」が44%と最も多く、六十四時間以上も30%。これは一カ月の時間外勤務に換算すると百時間以上となり、昨年四月の改正労働安全衛生法で健康障害のリスクが高まるとされた基準を上回る。

 当直回数は月二−三回が31%と最多だが、五回以上も17%、診療科別では医師不足が顕著な産婦人科医が49%、小児科医が37%だった。当直明けで非番は1%、半日勤務も3%にとどまり、69%が当直勤務を挟んで三十二時間以上連続で勤務している。

 負担に感じているのは「医師不足による過重労働」がトップ。「患者のわがまま、クレームなど過剰な権利意識」「過重労働によるストレス、当直による肉体的疲労」「インフォームドコンセントをはじめとする患者・家族対応」の順で、医師を取り巻くさまざまな課題が並んだ。

 「子どもに医師になってほしいと思うか」の質問には六割が子どもの意思を尊重するとしたが、二割が「あまりなってほしくない」「絶対になってほしくない」だった。

 百四十四ページにのぼるアンケート結果の報告書には、勤務医らの自由意見もすべて掲載した。「自分の健康と将来への不安を考えると、働くことに恐怖を覚える」などと生々しい訴えが並んだ。

 調査をまとめた県医師会の棚橋尉行理事は「子どもに医師になってほしくないのは、悲しい現実。県民に実態をよく知ってほしい」と話している。

 十二月二日のシンポジウムは県医師会や県などの主催で、午後二時から津駅前のアスト津四階で。入場無料。米国の医療の現状を描いた「シッコ」(マイケル・ムーア監督)も上映する。問い合わせは県医師会=電059(228)3822=へ。

 (奥田哲平)

 

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