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「会社の常識、社会の非常識」…栗本鉄工所社長が陳謝

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記者会見で頭を下げる栗本鉄工所の横内誠三社長(左から2人目)ら(21日、大阪市西区で)

 約40年にもわたり改ざんが引き継がれていた――。21日、鉄鋼メーカーの栗本鉄工所(大阪市西区)で発覚した、高速道路橋などに使用される円筒型枠(パイプ)の強度試験データ改ざん問題。横内誠三社長は本社で記者会見し、「『会社の常識が、社会の非常識』だった部分が残っていた」と陳謝した。一方、データが改ざんされた型枠を使っていた西日本高速道路会社は「安全性に問題ない」と強調したが、今後実施する点検にかかる負担については栗本鉄工所に賠償請求する考えを明らかにした。

 同社の説明によると、改ざんが行われていたのは、全国7工場で製造された型枠。大阪・交野工場と茨城・古河工場に所属する検査員が各工場に出向き試験を実施する。試験は特別な計器を使って行われ、データ表で計器の測定値を強度に換算するが、検査員は、基準以下の荷重でも合格値になるよう偽装したデータ表で強度をごまかしていた。

 改ざんはマニュアル化され、長年にわたり繰り返されてきた。カタログより薄い型枠が納入された事実も明らかに。横内社長は「改ざんは6日に報道機関の指摘で知った」「トップがすべてを知ってるわけではない」と自身の関与を否定した。

 横内社長は「だれが始めたか退職者も含めて調査中だが、型枠は主要構造物ではないので(強度を)軽視したのではないか」と述べ、厚さが足りない型枠を納入していた理由は、「発注された材料を用意するのが納期に間に合わなかったためでは」と推測した。

 今月12〜15日、同社が口径の異なる7種類の検証試験を行ったところ、うち5種類が不適合で、変形が基準値(1センチ)を大幅に上回る最大2・3センチに及んだものもあったという。

 同社の納入した型枠は、どの橋に使用されているかわからないため、高速道路会社3社は、管理する同タイプの橋7350か所(総延長1150キロ・メートル)すべての点検を実施する。

 うち5300か所を管理する西日本高速道路会社の東孝弘・技術部長は「橋に対する信頼を損なう行為で非常に遺憾」と憤った。

 太田俊昭・九州大名誉教授(橋梁(きょうりょう)工学)の話「型枠を強度の補強材として計算に入れていないのであれば、橋の完成後の強度に問題はない。ただ、建設中のコンクリートが固まる前は、型枠に負荷がかかる状態にあり、仕様より薄い鉄板は強度が弱く、作業員に危険を及ぼす恐れがあった。いずれにせよデータの改ざんは許されるものではなく、利益を上げるため安全性を軽んじる業者の風潮が反映されているものだ」

2007年11月22日  読売新聞)

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