2007年11月25日 更新

9人の鹿島が浦和撃破!8連勝で奇跡の逆転優勝へついに1差

先制点を決めた野沢。ついに浦和に勝ち点1差に迫った(撮影・鈴木健児)

先制点を決めた野沢。ついに浦和に勝ち点1差に迫った(撮影・鈴木健児)

 J1第33節(24日、浦和0−1鹿島、埼玉スタジアム)9人の鹿島が敵地でアジア王者を1−0撃破。沈黙するサポーターを横目に、約3000人の鹿島サポーターは優勝したかのようなお祭り騒ぎ。ベンチ前では、選手たちが抱き合って喜んだ。

 「信じるものは救われるというけど、結果を信じて最後まで頑張りたい」。後半21分に決勝ゴールを決めたMF野沢が誇らしげに語った。

 浦和対策が結実した。この一戦に向け、ミーティングでは選手全員で数回、浦和サポーターの映像を見て雰囲気に慣れた。さらに「前半から相手のビルドアップをつぶしにいった。そうしないとサポーターの雰囲気にのまれるから」(本山)。決戦前2日間の練習を非公開にするほど入れ込んだ成果だった。

 前半42分にDF新井場が2度目の警告を受けて退場。後半44分には途中出場のMF船山の行為が観客へのつば吐きと判断されて一発退場となった。だが「9人になっても、みんなが2人分くらいの気持ちでやっていた」と主将のMF小笠原。自身も両足がけいれんするまで走った。前半30分にボールを顔面に受けたMF本山は、右目がほとんど見えない状態ながら、新井場に代わって人生初の左サイドバックを務めた。2人の退場者を出しながら、埼玉スタジアムで浦和から勝利をもぎ取るのは史上初。延長戦廃止後ではリーグ最多タイの8連勝、そしてJ最速の300勝で3位以内が確定。来季のアジアCL出場も決めた。

 「浦和イコール代表というイメージがある。でも、代表がゼロの僕らでも浦和に勝てるという気持ちと自信はあった」とDF岩政。過去、その年のA代表戦に出場した選手が1人もいないクラブがリーグ優勝した例はない。さらに勝てば連覇の決まる浦和の優位は動かないが、いまの鹿島には不可能を可能にする力がある。

(千葉友寛)

◆鹿島のオリヴェイラ監督

 「試合前に選手に言ったことが1つある。レッズに合わせるのではなく、レッズにどうプレーしてほしいのかを考えてやるということだ」

★鹿島幹部、船山退場についての意見書提出を示唆

 鹿島幹部は「本人も違うといっているし、ビデオを見て判断したい」とMF船山の退場処分についてJリーグに意見書を提出することを示唆した。後半44分、扇谷主審はスローインをしようとした船山が観客へつばを吐いたとして退場を宣告。鹿島は同主審が担当した6月9日の大分戦(2−2)でも意見書を提出している。このとき、Jリーグは4度の誤審があり、鹿島側に3度のPKがあったと報告している。

★来季ACL出場権を獲得

 鹿島が来季アジアCLの出場権を獲得した。大会が現行方式となってからは初。清水の3位以内の可能性がなくなり、今季の上位3チームを浦和、鹿島、G大阪が占めることが決まって確定した。08年大会は日本から(1)07年Jリーグ王者(2)06年度天皇杯王者に加え、(3)07年大会優勝の浦和が前年王者としての出場権を獲得。(2)は浦和のため、代わって準優勝のG大阪が出場。(1)は浦和、G大阪以外で最上位が決まった鹿島になった。