先日、約1年ぶりに前任地の舞鶴市(京都府)を訪れた。引揚記念館でボランティアとして語り部活動をしている男性と再会、話を聞いて心が温かくなった。
シベリアに抑留された人々がわずかなパンを分け合う際、かみごたえがあり腹持ちする「耳」の部分を取り合ったという。体験者から聞いたこの話を男性が妻に話したところ、妻から伝え聞いた知り合いの飲食店主が時折、パンの耳を届けてくれるようになったという。
「妻と二人で分け合って、ありがたくいただいています」と男性。私の中で、パンの耳に対するイメージが少し変わった。今度食べる時は、平和のありがたさも一緒にかみしめよう。(林)
毎日新聞 2007年11月25日