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【社説】終戦宣言、その実態は「盧武鉉のための宣言」だ

 大統領府の報道官は26日、政府の「終戦宣言」に関する立場を説明し、今後は「終戦のための宣言」として推進すると発表した。大統領府の言う終戦宣言とは、韓国・北朝鮮・米国・中国の首脳が共同で韓半島(朝鮮半島)の戦争状態が終結したことを宣言するというものだ。24日には大統領府の白鍾天(ペク・ジョンチョン)安保室長が「終戦宣言は平和交渉を始めるという意味の政治的宣言」と説明している。

 だが政府内ですら「韓半島に北朝鮮の核が存在し、軍事的対立に変化がない状況にあって、平和交渉よりも前に戦争状態が終わったと宣言できるはずがない」という強い疑念の声が上がっていた。そして大統領府もやっと「終戦宣言」を先行させるのは不可能だと気付いたのか、今度は「終戦のための宣言」という新しいアイデアを出したのだ。前言を撤回する際も決して過ちを認めない現政権らしさは相変わらずだ。

 今、大韓民国に必要なのは、北朝鮮に核を放棄させることだ。それを実現させた上で、韓半島に配置された兵器や爆薬を完全に除去するため、両者の間の軍事的信頼関係を少しずつ形成していくことが望まれる。両者の間で信頼関係が成立すれば、それを制度化・成文化し、同時に関係諸国の首脳とともに宣言として発表するという道も開ける。終戦宣言とは、こうした手順に沿って行うのが当たり前だ。そのためには長い時間がかかるのも仕方がない。

 任期が残すところ4カ月となった盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領にとって現実的な課題は、平和協定に向けた第1段階として、北朝鮮の核放棄が実現するよう最善を尽くすことだ。盧大統領がこの段階を飛ばして政治的宣言に執着し、強引に推進しようとしているのは、結局自身の任期の間に何らかの業績を残したいという思いが働いているからだろう。

 だが欲をかくと、しっぺ返しを食らうのが世の常だ。依然として核の脅威が存在し、南北連絡鉄道の開通は北朝鮮軍部の出方次第でどうなるか分からない状況にあるにもかかわらず、「終戦宣言」や「終戦のための宣言」を発表したところで、何の意味があるというのだろうか。実現の可能性が低いばかりか、仮に実現したとしても、地雷畑の真ん中に和平の垂れ幕をぶら下げるような、見せ掛けだけの宣言となる公算が大きい。

 大統領府の報道官は「終戦のための宣言」のため、「各当事国と協議を行う予定」とした。だが米国側はすでに終戦宣言について、北朝鮮が核を廃棄してこそ可能だという立場を何度にもわたって、さまざまな形で表明している。それどころか大統領府が終戦宣言の推進に執着していることから、米国政府の関係者から「いったい何度言わせるつもりか」という発言も飛び出したという。

 それでも盧大統領は来月、大統領府安保室長を米国に派遣するという。いったいどんな理由をつけ、どのように説得しようというのか、理解に苦しむ。「終戦のための宣言」などという苦し紛れの名称に変えてまで宣言の実現に執着するくらいなら、いっそ実情に合わせて「盧武鉉のための宣言」と改称してはどうだろうか。

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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