≪真正なる プロップガン レプリカ≫
『マギー』
今更説明の必要が無い程に有名な「ベイシティ刑事」の星野刑事の愛銃「マギー」です。放映から20年近く経った現在、
記憶の彼方な部分も多々ありますが、ここ数年のBIG SHOTの納富氏とのやりとりで判明した事柄や私の記憶・当時の
資料(特に近年発見されたエディースショップに展示されていたマギーを完全分解し、その詳細を書き記したメモ)等を基に
パーツ構成を整理し再現しました。都合により本レポートの写真に装着されているグリップは全て「リアルマギーG」です。
また、マギーグリップに関しての詳細は「リアルプロップ・マギーグリップ」をご覧下さい。
●パーツ・セクション●
発砲用のスライド・メインフレーム・バレルは真空蒸着仕上げでしたが、ダミー銃の中には塗装仕上げ及びメーカー純正メッキ
フレームも存在しました。スライド刻印は「シリーズ70ゴールドカップ/ナショナルマッチ」と「マークIIIナショナルマッチ」の2種が
使用されました。どちらの刻印のスライドもメーカーで5インチにカットされた純正カスタムパーツです。(一般的には「マークIII」は
キットモデルのスライドとして認識されていますが、当時MCWにおいて同刻印の5インチスライドも製作されていました)
バレルはBIG SHOTに輸出用にライセンシーを考慮しエンドミルでシリーズ70上の行を削り落としたタイプの在庫が多かったので
それが多用されたとの事です。バースト刻印はエディースショップ販売タイプに搭載された為有名になった様です。
【トリガーガード前面加工】 右から「チェッカー」「ステッピング」「セレーション」「無加工」 |
【チェンバー刻印】 写真上:輸出タイプ、塗装仕上 写真中:パースト刻印 写真下:シリーズ70、真空蒸着仕上 |
金属パーツは未だソフト(艶消)クロームメッキのパーツが存在しなかったので、全てピカピカのクロームメッキパーツが使用され
ました。しかしが全てがメッキパーツであった訳では無くトリガー(側面磨き)・マガジンキャッチ・メインSPハウジング・EXヘッド・
Fピンストッパー等は黒パーツが、アンビセーフティーやマガジンキャッチはステンレスのモノも使用されました。
異なるパーツ構成の数丁のマギーがアッセンブリーで換装されたり、時にはパーツ交換され使用されて行きました。撮影期間
の長いTVドラマ、特に発砲の多い本作品等では尚更ですが何丁のマギーが存在したかやその一丁一丁の仕様を究明する事
は今更不可能ですし、、無意味だと思います。ですので以下にタイプ別では無く使用されたパーツバリエーションを一覧表に
しました。ご参考にして下さい。
- | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スライド(ABS) | シリーズ70刻印 真空蒸着仕上 |
MK-III刻印 真空蒸着仕上 |
シリーズ70刻印 塗装仕上(GM4等) |
- | - |
メインフレーム(ABS) | Trガード:チェッカー 真空蒸着仕上 |
Trガード:ステッピング 真空蒸着仕上 |
Trガード:無加工 真空蒸着仕上 |
Trガード:無加工 メーカー純正メッキ |
Trガード:無加工 塗装仕上(GM4等) |
バレル(ABS) | 輸出用シリーズ70刻印 塗装仕上 |
シリーズ70刻印 真空蒸着/塗装仕上 |
バースト刻印 真空蒸着/塗装仕上 |
コルト45オート刻印 真空蒸着/塗装仕上 |
- |
ボーマーサイト | ピンガン・ホーグタイプ | - | - | - | - |
ワイドトリガー | 純正クロームメッキ | 黒染仕上側面磨き | - | - | - |
マガジンキャッチ | ロング/チェッカー 純正クロームメッキ |
セミロング/チェッカー ステンレス製 |
ノーマル/セレーション 黒染仕上 |
- | - |
アンビセーフティー | 純正クロームメッキ | ステンレス製 | - | - | - |
メインSPハウジング | 純正クロームメッキ | 黒染仕上 | - | - | - |
リングハンマー (スモールホール) |
純正クロームメッキ | ステンレス製 | - | - | - |
ビーバーテイル | 純正クロームメッキ | - | - | - | - |
バレルブッシュ | 純正クロームメッキ | - | - | - | - |
プラグ | 純正クロームメッキ | - | - | - | - |
スライドストップ | 純正クロームメッキ | - | - | - | - |
セーフティーSPガイド | 純正クロームメッキ | - | - | - | - |
マガジン | ウィルソンロジャース マッチマガジン |
同ヘビーウエイト マガジンベース付 |
- | - | - |
発砲銃に施されたスライド後端の補強。ボーマーサイト対応スライドのこの部分は非常に 薄く強度上の弱点です。その為割れ止めに1mmABS板を貼っています。またサイトのズレ 防止の為にホーローセットSCを追加しています。写真では分かり易いようにレンチを立て ました。(この事実も実物プロップマギーG等と共に近年発見された仲代メモによります。) |
●リメイク・セクション●
『月刊Gun年月号掲載タイプ』
スライド・フレーム:真空蒸着仕上 スライド刻印:シリーズ70ゴールドカップナショナルマッチ トリガーガード前面:ステッピング トリガー:黒染仕上(側面磨き) マガジンキャッチ:セミロングチェッカー/ステンレス製 ハンマー:ステンレス製 |
このタイプが雑誌掲載された為、「マギー=ゴールドカップ」 が定説になった様です。 |
『エディースショップ販売タイプ』
スライド・フレーム:真空蒸着仕上 スライド刻印:マークIIIナショナルマッチ6インチスライドカットタイプ (プロップは全て納富氏のポリシーによりメーカー純正5インチカスタム スライドを使用。6インチから製作した5インチスライドの販売は私の 独自の発想です。) トリガーガード前面:セレーション(横筋) バレル:バースト刻印/真空蒸着仕上 トリガー・EXヘッド・FピンSt・グリップSC他:純正クロームメッキ マガジンキャッチ:ノーマル(セレーション)/純正クロームメッキ |
このタイプの特徴は私の判断で細部に亘るまでメッキパーツを 多用した事です。Trガードのセレーション加工(M92F等と同様の 横溝パターン)は店主M氏の希望によるものです。 当時製作に当たったのが私自身だけだった為このマギーの データーは全て私一人の記憶によるモノです。実際に当時 エディースショップで旭工房製完成品「マギー」を購入され 間違いに気づかれた方はご一報頂けると幸いです。 |
『エディースショップ展示タイプ』
スライド:真空蒸着仕上 (発砲用スライド後端補強及びボーマーサイト止めスクリュー加工あり) フレーム:メーカー純正メッキ スライド刻印:シリーズ70ゴールドカップナショナルマッチ トリガーガード前面:無加工 バレル:輸出用シリーズ70刻印塗装仕上 |
トリガー:黒染仕上(側面磨き) マガジンキャッチ:ノーマル(セレーション)/黒染仕上 ハンマー:ステンレス製 EXヘッド・Fピンストッパー・ハウジング:黒染仕上 多くの人が目にした実際のプロップはこのタイプでしょう。 |
このレポートを書くにあたって冒頭に記した様二十年近い歳月により風化している事柄多く、時間の壁の厚さを痛感しました。
人気の高い作品だけに巷には多くの通説・俗説の類が存在しますが、本稿にある事柄以外は先ず疑ってみるのが懸命でしょう。
今後新たな事実が判明すれば加筆訂正して行きたいと思っております。(H18.7.11)