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魁皇:覚悟のご当地カド番 人気衰えず

朝げいこで汗を流す魁皇=福岡県粕屋町で、田中雅之撮影
朝げいこで汗を流す魁皇=福岡県粕屋町で、田中雅之撮影

 時津風部屋問題や朝青龍騒動など、大相撲への「逆風」が強い中で、35歳の大関・魁皇が、けがと戦いながら九州場所(11日初日・福岡国際センター)を盛り上げようと必死だ。三代目若乃花・貴乃花、曙の3横綱が軸になった空前の相撲ブーム「若・貴フィーバー」の名脇役は、同期の彼らが去った後も土俵を務める。福岡県直方市出身で、ご当地・九州場所は20回目。人気は依然、衰えていない。【籔田尚之、上鵜瀬浄】

 ■貴乃花に12勝 

 魁皇の入門はバブル景気真っ盛りの1988(昭和63)年春。同期には3横綱をはじめ、史上最多11人の関取(十両以上)を輩出した。貴乃花には新横綱だった95年初場所で初勝利。以後「横綱・貴乃花」相手には33回対戦し、番付下位力士では最多の12勝を挙げた。97年春場所では貴乃花らと優勝決定戦も戦った。

 幕内優勝5回は、三代目若乃花や柏戸の両横綱と並ぶ。「若・貴」が去っても「和製」大関として、外国出身力士隆盛の波にあらがった。一方で、負け越すと関脇に落ちる「カド番」もワーストの11回を数えるが、「身を引くべきだ」との声は大きくならなかった。昨年春場所にも序盤で成績が振るわず引退もささやかれたが、友綱部屋のブログには現役続行を求める連日数十件のメールが。土俵入りでは、いまだに最も拍手の数が多い。

 ■朝青も慕う 

 力士の間からも慕われている。01年初場所後に曙が現役を引退した時、酔った勢いで「横綱、なぜ辞めるんですか」と抱きついたり、03年名古屋場所に、対立が激化した旭鷲山と朝青龍が支度部屋近くの風呂場で一触即発の雰囲気になった際には、一糸まとわぬ姿で2人の間に割って入った。

 朝青龍は、この一件から魁皇に心酔。魁皇の「引退騒動」時も「オレは魁皇関が好きなんだ。心配だ」と、敬称の「関」をつけて気遣った。4歳年下の千代大海からは親しみを込めて「オッサン同士頑張ろう」と励まされている。

 ■忍び寄る衰え 

 20回目の九州場所はカド番の苦境に立つ。場所前のけいこでも、名古屋場所で痛めた左太もも裏が回復しないもどかしさに、魁皇の表情は晴れない日々が続いている。もう35歳。秋場所で戦後最年長大関在位記録に達したが、力の衰えもみえる。師匠の友綱親方(元関脇・魁輝)は「秋場所(1勝5敗9休)のような相撲なら、こちらから言い渡す」と引退を勧告する可能性を示唆する。本人も覚悟している。だからこそ、秋巡業にも参加せず九州に備えてきた。

 場所前に関取衆とけいこができなかったのは誤算だったが「地元でぶざまな姿は見せられない」と魁皇。初日は稀勢の里の挑戦を受ける。

毎日新聞 2007年11月9日 13時28分 (最終更新時間 11月9日 13時30分)

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