産科医、さらに減少/常勤医総数は横ばい/県内28病院
2007/11/26


 入院が必要な重症患者を受け入れる二次救急を担う県内二十八カ所の中核病院で今年十月現在の常勤医は、臨床研修医を除くと七百九十三人となり、四月比でほぼ横ばいだったが、産科の減少に歯止めがかかっていないことが二十五日までに、県保健福祉部の調査で分かった。産科を中心とした県の医師確保対策の効果が思うように表れていないのが現状で、同部は「非常に危機的な状況」との認識を示している。
    
 調査は県内の二大学病院を除いて実施。内科系三百十三人、外科系三百五十五人と四月比で二けたの増減になったが、統計の取り方の変更が大きな要因で、総数は六百六十八人と同数だった。

 一方、小児科は二人増の四十八人だったが、産科は引き続き減少し四十一人になった。今年四月から出産受け入れを大幅に縮小した国立病院機構(NHO)栃木病院(宇都宮市)は、産科医二人を今夏以降も維持した。

 県は医師確保対策として返済免除がある研修資金貸与や県職員として採用するドクターバンク制度、女性医師の現場復帰支援などに取り組んでいる。しかし研修資金貸与は募集定員割れが続き、現場復帰もやっと一病院が利用しただけだ。ドクターバンクは三回目の募集中だが、応募はもちろん、問い合わせすらほとんどないという。

 さらに休日・夜間の時間外診療で中核病院に救急患者が集中する実態が続いている。大学病院を含めると二〇〇六年度も救急患者全体の七割に達したが、ほとんどが入院の必要のない「時間外診療」の対応だった。

 県北地域で初期の小児救急も担う中核病院の病院長は、県の会合で「周産期医療の新生児を背負いながら初期救急もしなければならない。極めて危機的な状況で、勤務環境が悪ければ、いつ大学から派遣中止を言われるか分からない」と窮状を訴えた。

 県は現在策定中の次期保健医療計画(〇八−一二年度)で救急や周産期など医療連携体制の整備を目指しており、どれだけ実効性のある内容を盛り込めるかが今後の医師確保で鍵を握りそうだ。

診療科
04年8月
05年4月
06年4月
07年4月
10月
内科系
341
302
304
299
313
外科系
380
360
355
369
355
小児科
49
48
42
46
48
産婦人科
51
48
45
43
41
麻酔科
37
35
36
37
36
合計
858
793
782
794
793
臨床研修医
21
34
44
65
67

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