チャットモンチー

　1stアルバム『耳鳴り』リリース以降、じつにハイペースで作品をリリースしてきたチャットモンチー。彼女たちの楽曲を多くの人に届けることとなった、スマッシュ・シングル「シャングリラ」を含め、既に4枚のシングルをリリースしている。しかも収録曲は毎回3曲。そのすべてが初の音源化、つまり新曲ばかりである。本年3枚目のシングルとなった「橙」をリリースした際、彼女たちにこんな質問をした。

　アルバムも控えてるけど、こんなにばんばん新曲発表して大丈夫か、と。

　3人は笑顔で口をそろえた。

「大丈夫です。どんどん新曲ができているんですよ。だから早く聴いてほしいって想いのほうが強いし。アルバムにも新曲たくさん入るし、まだまだいい曲、たくさんあるから」

　チャットモンチーから、ニュー・アルバムが届いた。タイトルは『生命力』。

「前回の『耳鳴り』の時も、タイトルはめちゃくちゃ悩んだんですけど、今回はその時以上に考えて。アルバムの曲を何回も聴いて。繰り返し聴いてたなかで、この13曲にすっごい生命力を感じて。“あっ、じゃあこの気持ちをそのままタイトルにしたら良いのかな”って思ったんです」（橋本絵莉子／G&Vo）

「ホンマに、後ろをまったく向いてなくて。後ろ向きっていうのとは違う、後を省みるってことをしてないって意味なんですけど。なんかもう……作ってる時は、ただもう本当に“いい曲を作る。良いアルバムを作る”っていう、ただそれしか考えてなかったんですけど、いざ、出来上がって聴いてみたら、ホンマに……えっちゃんが言ってたように、そりゃ苦労してたことも思い出すんですけど、やっぱり、すごいエネルギーを感じるし。2ndアルバムが、1stより、さらにチャットモンチーの音楽をちゃんと提示できるものになって、そういう作品が出来上がってきてホンマに良かったと思います」（福岡晃子／B）

　音楽こそが、このバンドのエネルギーそのもの……つまり“生命力”になっているということか。デビュー以降、音楽が、このバンドをみるみる成長させた。それは、リリースのハイペースや、曲の幅、そして1曲1曲のクオリティの高さから十分に伺える。本人たちに、成長の自覚はあるのだろうか？

「成長した部分……チャットモンチーらしさじゃないですかね。その“らしさ”っていうのが増していってる。自主制作の『チャットモンチーになりたい』っていうミニ・アルバム作った時から考えても、自分たちらしいライヴだったりとか、自分たちが目指す音楽だったりとかに、近づいていこうとする力が、どんどん増していってるんですよね。楽曲が、本当にいろんな方向に枝分かれしていってるっていうのも、チャットモンチーらしさになってってるなと思います」（高橋久美子／Dr）

　自分たちの成長が、新しい“チャットモンチーの楽しさ”に直結することを3人は学んだようだ。自分たちの音楽が、チャットモンチーにとっては、生命力であると同時に、成長するための栄養なのだろう。

「そうですね、ライヴも1本1本重ねるごとに違うし。どんどん上を目指すチャットモンチーっていうのができてきてると思うし。他のアーティストの曲も聴いて参考になったりもするけど、やっぱり自分たち自身の音楽に、一番影響されてると思います」（高橋）

　チャットモンチーがいる限り、チャットモンチーは進化する。

INTERVIEW & TEXT : AKI ITO