周産期の救急搬送に調整役を配置/大阪府

 夜間の重症妊産婦などの緊急搬送により迅速に対応するため、大阪府は11月26日から、緊急搬送をコーディネートする専任医師を府立保健総合医療センターに配置する事業を開始した。これまでは同センターにおいて、当直医師が当直業務をこなしながら受け入れ要請を行っていた。府内の医療機関が適切な役割分担を行うことで、周産期医療体制の強化につなげる狙い。

 一般的に妊婦に救急搬送が必要なのは、一般の産婦人科病院や助産所が対応しきれないハイリスク分娩などの場合。こうした際、府内では、二次救急を担う43の「周産期緊急医療システム参加病院」が受け入れ要請を受け、妊婦に対応している。ただし要請を受けた病院が対応を不可能とすることも当然ある。そのときは「総合周産期母子医療センター」として位置づけられている府立保健総合医療センターが電話連絡を受け、システム参加病院内で受け入れ調整を担っている。
 しかし、これまで、この調整については、同センターの当直医師2人が当直業務をこなしながら行っており、迅速かつ円滑な対応が困難となっていた。

 このような事態を受けて府は、夜間・休日に、同センター内に調整を担当する専任医師をコーディネーターとして設置する事業を実施。全国でも初の試みで、これにより医療機関同士の連携強化を促す。
 コーディネーターは現在、システム参加病院に属する医師など計9人で、交替で調整業務を担う。

 また、府は、「NICU(新生児集中治療管理室)」を3床以上持ち、帝王切開などに24時間対応できる比較的高度な医療を提供できる12の医療機関を「地域周産期母子医療センター」として認定し、整備を進めていくことも発表。認定を受けたセンターは、「総合周産期母子医療センター」などと連携していく。

 今年8月に奈良県で起きた救急搬送中に死産した事件などに代表される“妊婦たらい回し”の背景には、高度周産期医療を担う医療機関が比較的軽症の患者に追われ、本来診るべき重症患者への対応が困難となっていることがある。
 府の担当者は今回の発表について「一次医療機関や二次医療機関などに適切な役割分担を促すことで、府内における周産期医療の充実につなげたい」と話している。


更新:2007/11/26   キャリアブレイン

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