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出産後の主婦死亡、医師の過失問う控訴審が結審 名古屋

2007年11月26日10時57分

 名古屋市港区の産婦人科医院で00年、出産直後の主婦(当時31)が死亡した事故は医療過誤が原因だとして、夫と長男が、同医院の男性医師らに計約1億2800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が26日、名古屋高裁であり、結審した。控訴した医師側は「医師の判断と主婦の死亡に因果関係はない」などとして遺族側の請求の棄却を求め、遺族側は控訴棄却を求めた。

 同高裁は12月11日に和解勧告し、成立しなければ、来年2月27日に判決を言い渡す予定。

 主婦の死亡をめぐっては、一審の名古屋地裁が昨年9月、医師に約7700万円の支払いを命じた判決を出した後、刑事訴訟で同地裁が今年2月、業務上過失致死の罪に問われた医師を無罪(求刑罰金50万円)とし、判決が確定。民事と刑事で判断が分かれている。

 主婦は00年8月31日午前、同医院に入院し、男児を出産した直後に大量に出血し、同日夜に出血性ショックで死亡。遺族側、検察側はそれぞれの訴訟で、司法解剖の結果などから、医師が、子宮の出口にある子宮頸管(けいかん)が裂けていたのを見落とし、輸血の手配や大病院への搬送も怠ったと主張した。

 これに対し、同地裁は民事訴訟判決で「子宮頸管裂傷は認められない」とする一方、「主婦を早期に大病院へ運んでいれば、死を回避できた可能性があった」と医師の過失を認めた。

 しかし、刑事訴訟の判決は、他の医師の証言などから「子宮頸管裂傷を認めるには合理的な疑いがある」「輸血を早期に実施し大病院に転院させたとしても、主婦の死を確実に避けられたとは言えない」として医師を無罪とした。

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