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2007年11月26日

 白亜の大理石で知られるインドの世界遺産タージマハル廟(びょう)が、大気汚染による汚れを取り除くために、伝統の泥パック美容法を施す計画という

素肌ならともかく、普通に磨くよりも効果があるのかと疑問視する向きもあるが、命の源である土に再生を託すあたりに「文明のふるさと」インドらしさを感じさせる

お色直しと言えば、同じく外観がまばゆい白で知られる日本の世界遺産、姫路城も二〇〇九年度から、ほぼ半世紀ぶりの「平成の大修理」が始まる。パックではなく、白しっくいを塗り直す、いわば「土」をしっかり張り付ける作業が中心になるらしい

泥パックにしろ塗り直しにしろ、自慢の外観が見えにくくなることは避けられない。姫路城の場合は、五層六階の大天守が三年以上も金属屋根で覆われるから、年間九十万人の観光客が大幅に減少するとの懸念が出ているが、やらねばならぬ大工事だろう

規模は違うが、金沢城では河北門の復元が始まり、作業風景の見学や作業体験もできる。残された痕跡を手がかりに新たな石と土を積み上げる営為は、復元と言うより、創造と言えるだろう。見守り、そして参画したい。


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