ビアテスター・マスターエバリュエイターの講習会(2002/2/9〜10)受講記録(6)

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ィルトレーションとボトリングについて。

  • フレーバーコントロールの面から見て、フルトレーションはやった方がよい。
  • フィルトレーションの目的は、バクテリア、酵母の除菌とビールの清澄化。
    • 濁りとオフフレーバーをもたらす酵母の除去。
      • 有機酸や脂肪酸、ポリフェノールは酵母から融出される。
      • 酵母の存在はビールの賞味期限を短くする。
    • 濁りをもたらすコロイド粒子を除去する。
      • コロイド粒子とは高分子タンパクで、ビールを冷やすと濁りの原因となる。ぼとりんぐn
    • オフフレーバーをもたらすバクテリアや野生酵母を除去。
      • 発酵工程でかなりのバクテリアは死滅する。
      • 完全には死滅しない。
      • 顕微鏡で見れば乳酸菌などが見つかる。
      • それが当たり前である。
      • そのこととビールのレベルとは関係ない。
      • しかし、微量のバクテリアが瓶詰め後に繁殖する可能性がある。
      • 一般的には上記のことは心配する必要がないが、瓶詰め後に繁殖する可能性があるので取り除いた方がよい。
  • フィルターのメッシュサイズは目的によって変える。
    • 酵母を完全に除去するためには、1ミクロンのメッシュサイズ
      • 野生酵母は完全に除去できる。
    • ラクトバシルス、ペジオコッカスなどの乳酸菌は、0.5 ミクロンのメッシュサイズで除去できる。
      • 上記の乳酸菌以外は、0.5 ミクロンのフィルターでは除去できないが、残っても心配いらない。
      • 0.5 ミクロンのフィルターを除菌フィルターという。
    • 目の細かいフィルターを一挙に使うと酵母、コロイドが詰まってしまい効率が悪くなる。
      • 何回かにわけてフィルトレーションをする。
      • 初めは3〜6ミクロンのフィルター
      • 2回目は1ミクロンのフィルター
      • 3回目は0.5ミクロンのフィルターというように使う。
    • フィルターを通すことによる弊害
      • フレーバーとボディが低下する。
      • すなわち残留糖分が減少する。
    • 目的によってフィルターのメッシュサイズを変える。
      • エリア内(県内)販売(10日以内の販売)では、2〜3ミクロンのフィルター
      • エリア外(県外)販売(1ヶ月以上の販売)では、1ミクロンのフィルター
      • 地ビールではあまり無いが、バクテリアまで除去したいときは、0.5ミクロンのフィルター
  • ボトリングのコントロール
    • ボトリングでの留意点
      • 酸素(O2)の混入を防ぐ。酸化防止のため。
      • バクテリア、かび胞子、野生酵母の混入を防ぐ。
      • 炭酸ガスレベルの適正化。
    • 酸素(O2)のコントロール
      • ボトル一本あたりの理想的酸素含有量は、0.08〜0.18ml/330ml瓶
      • headspace中の酸素は、0.06〜0.15 ml
      • 液体中の溶存量は、0.02〜0.03 ml
      • 合計、0.08〜0.18mlとなる。
    • ボトリング時に酸素(O2)混入の危険性をすべて断ち切ることが重要。
      • 過度な酸素混入を防ぎ、ビールの劣化を防ぐため。
      • 瓶を洗う時の洗い水には、10ml/リットルの酸素(O2)が含まれている。
      • ボトルを逆さまにして、水切りをして、仮に1mlの水が残ったとすると、0.01mlの酸素が溶け込んでいることになる。
      • 炭酸ガス中に酸素が含まれている場合がある。業者選択に注意。
      • 手でゆすって泡を立てた時に酸素が混入する。(フォーミング)
      • 王冠の回りに付着している酸素。特にアルコールや水が付いているとその中の酸素が影響する。
      • ボトリング前の行程で酸素が混入。
        • 過度のエアレーション
        • フィルトレーションで酸素吸着
        • パイプ送流中での酸素の巻き込み。
    • ボトリング行程での酸素のコントロール
      • 内部が乾いている瓶に詰める。
      • 王冠は乾燥していること。
      • 純粋な炭酸ガスを使う。
      • 発酵を終えたビールと空気とが触れる機会を限りなく少なくする。
    • ボトリング時のカビ、バクテリア、野生酵母の混入について。
      • 洗浄水では、井戸水で洗浄しているときにはカビやバクテリアなどが含まれている場合がある。
        • 水道水で洗うようにする。
        • 井戸水の場合、煮沸した水で洗うようにする。
      • 古いボトルは、苛性ソーダで洗浄してもバクテリアやカビを完全に取り除けないことがある。
        • 古いボトルは再利用しないこと。
        • ボトルは煮沸水で洗い、水を完全にきる。
      • ボトリングマシンには、バクテリアやカビ、野生酵母がよく繁殖している。
        • ボトリングマシンはバクテリアの巣と思わないといけない。
        • 85℃以上の水でシャワーをするか、スティームをかける。
      • カビ、バクテリア、野生酵母は作業服や手に付着していることが多い。
        • 手をよく洗い、消毒する。
        • 衣服は清潔なものを着る。
    • CO2レベルのコントロールについて。
      • 単位はボリウム(V)
      • ビール1リットルに1リットルのCO2ガスが含まれているとき、1ボリウム(1V)という。
      • イングリッシュペールエールの適正なCO2レベルは2.4〜2.6ボリウム(V)
        • すなわち、イングリッシュペールエール1リットルの適切なCO2含有量は2.4〜2.6リットルである。
      • 内圧と温度でもってCO2含有量は変わる。
      • CO2ボリウム・チャートがある。
        • プレッシャータンクには圧力計がついている。
        • 何Kg/cm2圧力がかかっているか、わかる。
        • タンクには温度計がついていて、ビールの温度がわかる。
        • 圧力と温度でもって、何ボリュウムかはわかる。
        • たとえば、(横)圧力が0.8Kg/cm2で、(縦)ビールの温度が0℃の時は、CO2ボリウム・チャートより 3.04(V)となる。
        • すなわち、ビール1リットルあたり3.04リットルのCO2が含まれていることになる。
      • 何ボリウム(V)が適切なのか?
        • スタイルにより違う。
        • ケグ入りか、ボトル入りかによって違う。
        • カスクコンディションによっても違う。
        • ボヘミアンピルスナーでは、2.4〜2.6 ボリウム(V)
        • アメリカンラガーでは、2.6〜2.8 ボリウム(V)
        • ヴァイツェンでは、3.0〜5.0 ボリウム(V)
        • ケグ入りビールでは、2.2〜2.4ボリウム(V)
        • カスクコンディションでは、1.0〜1.75ボリウム(V)
      • たとえば、プレッシャタンクでガスを加えて、2.4 ボリウム(V)のCO2をビールに加えたいときは、
        • ビールの温度を0℃にする。
        • ガスメーターを見ながら、炭酸ガスを送り込む。
        • CO2ボリウム・チャートより、0℃で2.38(V)にするには、0.4 Kg/cm2であることを確認する。
        • すなわち、0.4 Kg/cm2の圧をかければ、2.38(V)のCO2がビールに溶け込んだことを意味する。
        • ボトリング時は0.1〜0.15(V)の炭酸ガスが失われる。

ールの劣化の兆候について。

  • コンディション1
    • ホップの香りが減少しはじめる。
    • ホップの香りにつやがなくなる。
    • モルトの香りでは、香ばしさが失われはじめる。
      • 香ばしい香りが濁ってくる。
  • コンディション2
    • 全体的に香りから生気が失われ、みずみずじさが無くなる。
    • ホップの香りに枯れ草様の匂いが加わる。
      • 紅茶を何回か使って感じる匂い。
    • ライビーズという熟したフルーツ臭の匂いを感じる。
    • 苦みのクリーンさが減少し、渋みが出現する。
      • クリーンな苦みは舌の奥に感じるが、渋みは舌全体で感じる。
      • 渋みはさらに強くなれば、舌全体がピリピリ感じる。
    • T-2-N が感じ始める。
  • コンディション3
    • 泡のきめ細かさが無くなる。
    • 色が白く濁る。
    • ホップの香りのレベルが半分以下になる。
    • モルトの香りがくどくなる。
    • ライビーズの匂いが強くなる。
    • キャラメル香が現れる。
    • 苦みが弱くなり、甘みが感じられる。

     

    本日の講義はこれで終了しました。約1時間の休憩の後、試験がありました。試験は筆記テストと官能実技試験に分かれます。筆記テストは講義を十分に理解していれば何とか出来ます。官能実技試験は、すべて記述試験です。ビールを飲んでスタイルを当てる問題が5問。オフフレーバー入りのビールを飲んでオフフレーバーを当てる問題が5問。ビールを飲んで、スタイル的にどうか、を尋ねる問題が2題。すなわち、試験のビールを飲んで、スタイルと照らし合わせたときに、どの点が問題点かと指摘し、スタイルに合わせるためには、具体的にどうすればよいかを尋ねる問題でした。最後は同じビールの一ヶ月前に仕込んだビールと最近仕込んだビールを飲んで、どちらのビールが古いか、を選択しその理由を具体的に指摘する問題でした。スタイルを当てる問題は1問間違えましたが、オフフレーバーは全問正解でした。2週間後に結果が届き、何とかマスターエバリュエィターになることが出来ました。合格者名が送られてきましたので、それから考えるに、合格率は約40%ぐらいです。

    仕事が忙しくなり、まとめる時間がとれなくて、講義録のUPが非常に遅れました。ノートのみを参考にしてまとめ、一部わからないことろは、George Fix著「PRINCIPAL OF BREWING SCIENCE」を参考にしました。

    今回のマスターエバリュエィター講習会は地ビール会社のブルーマスターのための講習会で実際、地ビール会社の人が多く参加していました。しかし、私のとっては自家醸造家のための講義そのものだったと感じます。私自身、自家醸造歴も長くなり、今年で10年目になろうとしています。この趣味だけは自分自身かたくなに守り続けたいと思います。最近になって、ようやく自分の好みのビールがわかりはじめてきました。自分の理想とするビールに少しでも近づけるように、これからも精進するつもりです。しかし、ビール造りはあくまでも趣味ですので、ほどほどにというところでしょうね。

    こうぎを受けての感想ですが、口にしている「ビールの味わい」はいろいろな行程で影響を受けた結果なんだなぁと改めて感じました。材料が同じでも作り手の技量によっても大きく作用することを今回改めて再認識いたしました。ビール造りはサイアンス、プラス、アートということになります。私のhpを見てくださっている方は、ほとんどがhomebrewerと思います。よりおいしいビールへの挑戦と、みなさんも試行錯誤されているかと思います。このhpがそのようなフロンテァ精神豊かなhomebrewerの方々に一つの道しるべになれば、私もうれしい限りです。

    それでは。


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