東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

海藻で発電 海岸の厄介もの 発酵させて燃料に

2007年11月24日 朝刊

 東京ガスが、アオサやコンブなどの海藻を発酵させて出るメタンガスを使って発電する、バイオマス発電システムの実用化に乗り出した。実証プラントでの研究を終えており、海岸に漂着した海藻の腐敗した悪臭などに悩む複数の自治体が、システム導入を検討している。

 従来のバイオマス発電は、食品廃棄物や家畜のふん尿、木材チップなどを利用するシステムがほとんどだが、東ガスは周囲を海に囲まれた日本の特性を生かし、海藻を使うことにした。専用のプラントで海藻を粉砕して発酵しやすくし、発電時にメタンガスと都市ガスを混ぜることで、発電効率を引き上げる仕組みだ。

 日本各地の海辺では、大量に繁殖して流れ着いたアオサが腐敗し、悪臭や景観を損なうなどの被害が発生。また、漁場を保護する目的で植え付けられたコンブも一年ほどで刈り取られるため、自治体によっては毎年、数千万円をかけて、二千−三千トンもの海藻を焼却処分しているという。

 海藻をメタンガス原料として活用すれば、焼却処分による二酸化炭素(CO2)排出を防止できるほか、焼却コスト削減につながる可能性もある。

 東ガスは、二〇〇三年から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、実証プラントを使った研究を続けてきたが、〇六年度末までに実用化のめどが立った。一日当たり一トンの海藻を処理することで、一般家庭二十軒が一日に使う電力を賄える二十立方メートルのメタンガスの生産に成功した。

 東ガスは「厄介ものが原料になり、海もきれいになる」と環境浄化の効果を強調。自治体への売り込みを進める考えだ。

 <メモ>バイオマス 家畜のふん尿や下水汚泥などの廃棄物や、間伐材、サトウキビなどの動植物由来の有機物質で、燃料などとして使われる。再生可能な資源として注目され、地球温暖化の原因となるCO2の排出を抑える効果が期待されている。最近では、世界的なバイオ燃料ブームで、トウモロコシの国際相場が高騰するなどの問題も起きている。

 

この記事を印刷する