毎週日曜日の朝、楽しみにしている番組がある。FM岡山で放送している「ぼっけぇおもしれぇ おかやまの民話」である。
岡山民俗学会名誉理事長の立石憲利さんとフリーアナウンサーの森田恵子さんが、語りと解説で民話を紹介する十五分番組だ。情感豊かな語り口によって想像の世界が広がり、何とも味わい深い。
番組は昨年四月、本紙で連載が始まった特集企画「おかやまの民話12選」とタイアップしてスタート。民話の魅力を新聞、ラジオ双方で再発見してもらう狙いだった。特集企画は今年も七月から続編を十二回連載した。放送の方は昨年来ずっと続き、きょうが八十一回目だ。
民話は地域の古老たちによって語り継がれてきたが、語り手たちもほとんど姿を消した。一九六〇年ごろから民話の調査を始めた立石さんは約七千話を採録。八〇年ごろから語りも始めた。子どもたちに「心をゆさぶる言葉を伝えたい」との思いがにじむ。
先ごろ、本紙連載の「続おかやまの民話12選」が出版された。立石さんが再話した多彩な民話の世界が、堀川節子さんのほのぼのとした挿絵とともに楽しめる一冊だ。FM岡山で放送された中から十話を収録したCDブック「おかやまの民話」も発売された。
子どもを取り巻く悲惨な事件が相次ぐ昨今。民話を通して親子の対話が進み、心に響く言葉を取り戻せたらと願う。